2015年11月21日

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5
どうも、布引クラシックスの松枝です。今日からはビギナーの皆さんがどの時代の英国車を選べば良いのかについて具体的な話をします。年代別に英国車の流れを勉強しましょう。難しい話はビギナー対象のこのノートでは極力致しません。ざっくりと把握しましょう!


1950年代以前の英国車
様々なメーカーが、勝手に進化する混迷期「現代に使える代物と思うな!」
この時代は確立した定義も無く、それぞれが独自の発想でモノ作りに明け暮れていた時代。自転車に発動機を取り付けることから始まった。戦前モデルもあって博物館やイベントでしか見ないものばかり。
早速皆さんに結論を言います「・・・ボッです。皆さんが対象にする世界ではありません・・・」

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5
1950年代の英国車
「実用できるモーターサイクルが自然淘汰される時代」
実用と言っても特殊技能の世界。大金持ちのスペシャルな者だけの非日常的な世界だと思え!
この時代のモーターサイクルとは、軍用車又は有り余る大金を持った成功者のステータスだと認識しょう。そもそもクルマやモーターサイクルの普及率は低く、特殊な技術が必要なものだった。新車の時から安定性に欠け、トラブルなどは当たり前。常に工具やチューブに空気入れ、スパークプラグにエンジンオイルを持ち歩き、道中で修理を行う事など当たり前の時代だった。だが、独裁的な設計者が腕をふるい、個性的でデザイン性の高いモーターサイクルが多いのもこの時代の特徴。世界中の高いレベルのファンに支持される所以だ。しかし「結論を言います・・・この時代を甘く見るな!有り余る資金、有り余る時間、広いガレージ・・・この3点を全て満たす方、或は現代的なパーツにごっそりモディファイするかでなければ走る事すらままなりません。ましてや君たちのようにお小遣い程度の予算で足に使おうなんてもってのほか!数百万円の潤沢な資金と英国車に対する高度な心構えが必要不可欠。どこぞのショップで口車に乗せられて買ったはいいものの、途方に暮れてしまった・・・皆さんのとなりにもそんな方いますよね。イメージややる気だけではどうにもならない世界です。分かりますか?格好つけようとしても正常に走らなければ格好悪いだけ!良いですね。経験を積んで、お金を稼いだ後、いつしかの夢としてとっておきましょう!」

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5
1960年代前半の英国車
「電気装置が進歩して、モーターサイクルの性能が格段に安定し始めた時代。」
安定と言っても以前と比べての話。超手間のかかる乗り物に変わりはない!
ブリティッシュモーターサイクルが最も輝き始める時代の到来です。機械的に格段に安定度を増し市民権を得た時代。各メーカーともトップモデルをラインナップ。輝くクロームメッキに磨かれたアルミニュームは眩いばかり。その安定した性能が、今まで乗れなかった一般市民にまでモーターサイクルを普及する事となり爆発的に広まった時代。その原動力となったのが、1950年代には成し得なかった補機類(エンジン本体以外の細かな部品達)の格段の進歩だ。
大きく分けると、電気を発生充電する充電装置、エンジンに火花を発生させる点火装置、エンジンにガソリンを供給する気化器(キャブレター)となる。特筆すべきは、従来直流式の発電機が交流式に改められたこと。これで安定した電源を得ることに成功し、充電装置のみならず、点火装置や照明装置の高性能化を実現。一般市民の交通手段として広く利用される事となる。隣町に行くにしてもガンガンに走っていける。無事にたどり着けるか、なんて心配は殆ど無くなった。そんな時代です。(但し安心するのはまだ早い!メンテナンスフリーと言ってるのではありません。当時の人はいつも完全な状態にすべく毎週毎週愛車をいじっている・・・帰ってきたら整備して、出掛ける前にも整備して、いつも手入れを欠かさない。こうしてやっと快適な性能を維持できる。そういう意味です。分かりますね。)。幾分古典的なシステムは残るものの、完全な整備を施せば、あなたの夢をかなえてくれます。いいですか皆さん、完全な整備を施せばと書いてありますね。・・・逆に言います、現行車のようにオイル交換に毛の生えた程度の整備では維持できませんよ!私はそう言っているのです。結論を言います・・・「俺はこの年式のこれじゃなきゃだめなんだ!こいつと一緒に人生を楽しむんだ!こいつと苦労を共にするんだー!!」と熱い思いをお持ちの方、是非トライしましょう!

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5
1960年代後半の英国車
「高速化を要求される近代モーターサイクルへと進化しかけようとした英国車たち、だが・・・」
メードインジャパンが世界を変える。何も変わらないメードインイングランド。
そして、その電気装置。使っている電圧は6V。システムとしての6V車は6Vで快調に走ります。しかし、日本での車検に適合させようとすると問題が多くなってくる。丁度当時のものも、この時期を過ぎる頃から12Vに変わり始めより現代的な機械へと変化していった。更に、ブレーキ性能や、騒音、排気ガスなどに配慮した構造にもなってくる。今流行りの環境問題のはしりの時代だ。その時代の流れについていけない個性的なものは自然淘汰され、ほぼ英国車としてのラインナップは完成する。誰しもが認めるブリティッシュモーターサイクルの円熟期、となるはずだった、ところが・・・布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その5

そこに現れたのが皆さんご存じのメードインジャパン。自動車後進メーカーホンダの発表した例の「CB750」だ。1969年のパリのモーターショーで華々しくデビュー、4気筒エンジンに4本マフラーに200キロオーバーの性能は瞬く間に世界を駆け巡る・・・「アジアの日本人に何ができる!」なめきっていたヨーロッパの各メーカーのそのショックの大きさは計り知れない。ようやく安定期を迎えようとしていた矢先に、たったこの一台で全てが覆されてしまった・・・・この事が英国車最大の転機となってしまいました。メードインジャパンの凄まじさとは裏腹に、相も変わらずマイペース。手遅れになる頃までずっと同じリズムで進化し続けている。そんな時代なのです。それを証拠に、殆ど走行中のトラブルのないメードインジャパンに対して、性能の低い気化器によって不調をきたし、途中でプラグ交換なんて事を未だにやらなきゃならない。道端でゴソゴソやってるその脇を、ホンダが快音を発して追い抜いていく、「くっそー!」当時の若者が嫌気をさすのも当たり前ですね。ですが皆さん、そんな事でめげてはいけませんよ。「完成度が高い=感動の走り」とは限りません。何れ説明しますから・・・そして、そんな地道な進化でも相対的に1960年代前半のものより、後半のモノが適していると思います。「要約します・・・英国車好きに薦めたい1960年代後半のモデル。自分の愛情を強く強く注ぐことができる方。遠慮せずに各モデルを吟味しよう。楽しめる時代だ!」つづく・・・


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Posted by nunobiki_classics at 14:30 │英国車講座ビギナー編