2015年11月21日

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7
「単にピストンの数だけで英国車を選ぶな!技術革新の前と後。」
モーターサイクルを語る上で必ず出てくるのが、シングルとかツインとかいう言葉。これはエンジンの中のピストン(シリンダー)の数を言っている事だと皆さん知っていますよね?知らない人はこれを機会に学習しましょう。写真にあるのがシリンダーで中にピストンが見えますね。軽量コンパクトなシングルエンジンはモーターサイクルに最適なシステムとして1950年代を全盛期とし君臨しました。

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7
時代は高出力を求め1960年代にはピストンが2個になったツインエンジンに変わります。分かり易く言うと・・・正月にする餅つき、大男がひとりで「」ドッカン!ドッカン!・・・」とやるよりも、普通サイズの人が二人で「トントントントン・・・トントントントン・・・」とついた方が速くお餅が出来上がる・・・こういう話しです。振動の大きなシングルエンジンに限界を迎え、伸びの良いツインエンジンの実質的な操作性が広く浸透する事になるのです・・・

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7
そして1970年代辺りにはホンダをきっかけに4個もついた4シリンダーが主流となります。これは小さな人が力を合わせて「チョコマカチョコマカチョコマカ!・・・」と、恐ろしいばかりの高回転域を実現したものです。ご覧のようにエンジンは巨大になり重くもなります。しかし、それを差し引いても余りある大パワーが得られる・・・この後ずっと続く事になる「ジャパンパワー時代」の到来です。
考えて見ると、高性能化と多気筒化は比例することになりますね。難しい話をしないこのビギナー講座、やさしく理解しましょう。馬力を上げるには大きく重いピストンをドッカンドッカンと回すよりも、小さくて軽いピストンをちょこまかと素早く回すことが有効なんだと思って下さい。もっと簡単に言うと、ドッドッドッドッ・・・よりもヒュィーン・・・の方が馬力のある速いバイクが作れる。こういうことなのです。分かりますね。

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7
大きな流れで言いますと、1950年代はシングルエンジンの時代、1960年代はツインエンジンの時代、1970年代以降は4シリンダーの時代となります。これらは常に最高性能を競うものとして時代をリードしていました。逆に、消えて行ったシングルやツインエンジン車はその特性を利点として活かせるものへと特化しました。オフロード車や小排気量車、操縦性や趣味性を高めるためのものとして現代でも生き残っています。ここであれ?っと思う方、なんか抜けてますよね?説明します。1970年代前後から短期的に存在した3シリンダー車。どこへ行ったのでしょうか?残念ながら陽の目を浴びること無く時代の遺物として消えて行きました。理由は、中途半端だからです。機械的な意味ではありません。有利な点も多々あるエンジンですが、商品として顧客に受け入れられるには難しい位置のものなのです。特にこの時代のトライアンフやBSAでの3シリンダーはツインエンジンにひとつ足しただけの急場しのぎの設計でした。重く古臭い3シリンダーと、横に並んでいる最新型のホンダの4シリンダー。その違いは誰の目にも明らかでした・・・

布引流英国車ビギナー講座「君も英国車に乗ってみないか?」その7
では、皆さんに適した英国車は何か考えてみましょう。1950年代はシングルエンジン車。それに対し1960年代と1970年代はツインエンジン車です。前回から読んでいる皆さんは、ピンときましたね!そうです。1960年代初頭に補機類の劇的な進化がありましたね。モーターサイクルを安定して走らせるのに欠かせない、電気装置と気化器などがググ―ンと進化し、素人にも乗れる時代になったと私が言ってましたね。それは丁度シングルエンジンからツインエンジンに移行する時期と同じなのです。結論です・・・先ずは、ツインエンジン650、750クラスを狙え!シングルエンジン車の奥の深さを当然のことながら私は理解しています。いつも自分に問いかけてくれる良き相棒。ホイールの回転数とエンジンの爆発間隔が手に取るように把握できる事が異常に嬉しい。その力強く路面を蹴る感覚....「スタッタッタッタッタッ・・・・」乗った者であれば瞬時にして理解できる。心にジーンとくる奥の深さがシングルエンジン車にはあります。しかし、その補機類の扱いは今の現行車のレベルではないのです。教習所で乗っていたホンダやヤマハのようにはいかないのです。雨ざらしで駐輪所に置いておくなんて事は出来ないのです!皆さんは初めて英国車に触れる訳です。今は将来の楽しみとしてとっておきましょう。皆さんの選択すべき英国車は1960年代以降のツインエンジン車。特に1970年代前後が最も適しています。自分の能力をわきまえて、私の話に素直に従いましょう。先ずは楽しく走る事が先決だと理解してください。つづく・・・


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Posted by nunobiki_classics at 14:34 │英国車講座ビギナー編