2017年01月05日

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その2

少しの知恵が走りを変える。少しの意識が人生をも変える。自分の力で至福の走りを掴み取れ!それが英国車上級者だっ!


冒頭から申し上げます。今回は英国車上級者に最も有効な話をします。それは「駆動系統」…それを、「変速」「極意」「理不尽さ」の三つに分けて説明致したいと思います。何時も難しい話はしないと言いながら今回はクドイ話になってしまいます。興味のない方はここで立ち去りましょう…


では「変速」その1を始めます。最初に皆さんの固定概念を覆します。皆さんの思う「俺のエンジンってパワー有るぜ…」これは勘違です。世の中に数ある動力源の中でモーターサイクルのような小型且つ小排気量のエンジンは非力なモノなのです。言い変えます「俺のエンジンって非力だけど優れた駆動システムのお陰でめっちゃ走るんだぜ!」こうなります。


そうしたモーターサイクルには「ギア=歯車」が多用されています。では、基本を説明します。左が廻す側のギアだとします、右が廻される側です。1の場合、Aのギアを1千回転廻すとBのギアも1千回転です。で、2の場合はAのギアを1千回転で廻すとBのギアは5百回転になります。このように、ギアの大きさ(歯数)を変える事で回転数(速度)を変えられる、これを「変速」と言います。


では次です。1の同じ大きさの場合廻す時に必要な力はそのまんまです。廻した感じそのまんまにBのギアが回ります「じわー・・・」。次に2の場合はこうです「クルクルクルクル!あれっ?軽くなりなりましたよ!」このように回転数が変わると同時にそれに必要な力も変わる、「変速」のもう一つの特性です。
要点を集約します。小さなギアで大きなギアを廻すと、回転数は下がるけど廻す時に必要な力は少なくて済む。繰り返します「小さな力でも大きな負荷をグングンと廻せるんだっ!」こうなります。


では、構造も幾分知っておきたいと思います。左がエンジン側で右がギアボックス側です。


そこにカバーが着いてこうなります。エンジンの出力軸であるクランクシャフトが左、ギアボックスのメインシャフトが右になります。


そして、双方をこうしたチェーンで連結されます。「エンジン」と「ギアボックス」が一本のチェーンで連結されている。いきなり後ろのホイールを回すのではなく、一旦ギアボックスの太いシャフトを廻すんだと知りましょう。


で、残念な事に小型軽量且つ小排気量の我がエンジンとは、ギアボックスに対して非常に弱い立場にあります。「強そーだな、こんなの廻せねーょ…」エンジンは不安になってます。対してギアボックスからその後方にあるリアタイヤ一式までは「オーラッ!どっからでもかかって来い!」と態度が超デカい訳です。「勝てる気しねーなー…」状況は完全に劣勢、じゃぁ一体どうする?


よく見ましょう。そうです、さっき憶えた「変速」です。廻す側のクランク軸のギアは小さく、廻される側のギアボックスのメインシャフト側は大きくなっています。小から大の場合、回転数は下がるけど力は小さくて済む=小さな力でもグングンと廻せる、これです!因みにこの時、概ね2分の1の比率で減速されています。


完全に不利な立場を変速の特性によって一挙挽回!非力なエンジンでも車体の駆動という負荷に対して堂々と渡り合える立ち位置をキープ!「ざまぁ見ろっ、これでどうだっ!」 これを「減速」と呼び、これら一連を一次減速装置=プライマリー減速装置と呼びます。


今回はここまで、お疲れ様でした…如何でしたか?皆さん。我が英国車の500、650、750㏄等の排気量とは、思っているよりもずっと健気なモノなんだ、エンストをした時の事を思えは分かるはず。そんなか弱いエンジンをプライマリー変速が「おっしゃー!俺にまかせろ!」と言って助けてくれている。二人でひとつの仕事をやっとの事で成し遂げている。始めから強いものではないのです。 明日にでも皆さん、ガレージに行って各人のプライマリーチェーンケースをジーッと見つめましょう。「ありがとう…助けてくれて…」きっと有難味が湧いてくるはずですよ…
では次回は「変速その2 ギアボックス」についてお話したいと思いますよ。
2017.1.5 布引クラシックス 松枝







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