2017年01月07日

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その3


前回の「変速その1」では、一時減速装置=プライマリー減速装置について学びました。非力なエンジンをプライマリー減速によってガツンッとパワーアップ!立ちはだかる大きな負荷に対して戦える所まで到達致しました。


しかし、それで走りだしても吹け切って終わりです。「ブッウォ―――ンオンオンオンオン・・・・」精々20キロ程度の速度で終わってしまいます。今回は、本来20キロ程度しか出ないモノを、5倍もの100キロを超すような速度を出す為には一体どうすれば良いのか?学んでみましょう。


今、A君はA地点からB地点に行かなくてはなりません。「無理っす!」これでは登れません、愕然とします。


「やったるどーっ!」そこでA君はスコップで階段を堀り始めました。…全く登れなかったものに一筋の光明が見えて来ました。


そこで彼はもう一段増やしました。「ハァハァハァ・・・登ったぞ―!」息を切らしながらも何とか登る事に成功です。皆さんの知らない3スピードギアボックスの実用化です。


で、これは実物のギアです。2本のシャフトにそれぞれ4つのギアが着いてます。それぞれの軸には固定されているギアと空回りするギアがあってロー、セカンド、サード、トップギアと一つずつ変速出来るようになっています。


近づいて斜めから見るとこんな感じです。如何にも強そうな歯車が沢山並んでいますね。固い鋳物の鉄を削り、研磨し、焼き入れし、焼きなましをし、仕上げをして・・・一見何でもなく見えますが、精度も高く非常に高価な部品なんですよ。


では、これがローギア(1速)です。左が廻す側(エンジン側)、右が廻される側(後輪側)、思い出しましょう、小さなギアが大きなギアを廻す時・・・廻す力は小さくて済む・・・要する本来弱い立場のエンジンでも、こうすれば強い立場になってグングン廻せる!でしたね。なので、発進して「ズッワ――ン!」強い加速感を感じる!と同時に瞬時に終わっても仕舞います。


続いて、ペダルを操作しセカンドギアにシフトアップして走り始めると「ズッズッズッズッズッズッ――――――ン!」と重さや激しさを幾分感じるもののローギアよりクリアな感じで吹け上がると同時にローギアよりも進んでいる時間は長くなりました。


そして、更にサードギアに入れて走り続けると俄然速度が乗って来る!「ズバババァ―――――ン!シュィ―――ン・・・」 と同時に随分と進んでいる時間が長い、スロットルのオンオフで幾らでも走れるようにもなりました。


そしていよいよトップギアです。「ズバッズバッズバッズバッズバッ・・・!」こりゃぁ凄いです!発進する時の心許ないあの感覚などどこ吹く風、スロットルを開けると「ズバッズバッズバッズバッズバッ・・・!ヤッホー!」何と言う変わり様でしょうか、素晴らしい! (※ギアがひとつしかない理由は後の講座で説明します。)


では、まとめます。
A君が掘り続けた4段の階段とは皆さんが一段ずつシフト操作するギアそのモノなのです。100キロの壁を目指して20キロ、40キロ、60キロ、80キロに100キロへと非力なエンジンの出力を上手に導き最終的に目的を達成する超優れたシステム。A君が一生懸命に掘ったあの4段の階段が今正に皆さんのギアボックスの中に詰め込まれているのです。


このようにエンジンとプライマリー減速装置だけでは20キロ程度でしか走れないモノを4段のギアを使い100キロ以上もの速度で走らせる事が出来るようになる。そこに忘れてならない事・・・少から大へは力が少なくて済む、小から大へは弱い力でもグングンと廻せるようになる!この「変速の特性」が巧に利用されているって事・・・
良いですか皆さん、明日からは右の足先にそっと愛情を込めてシフト操作してみましょう。一段一段丁寧にギアを上げて行きましょう。我ら英国車上級者にとってこの上ない宝の箱、それが「4スピードギアボックス」なのです。

2017.1.7 布引クラシックス 松枝 


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