2019年01月06日

2019年新年度のご挨拶・・・ストバイ最終号に思う事・・・

2019年新年度のご挨拶・・・ストバイ最終号に思う事・・・
布引ファミリーの皆様、明けましておめでとうございます。昨年度は大変お世話になりました。今年も皆様に満足頂ける仕事を提供すべく精進して参りますのでどうぞよろしくお願い致します。
さて、「ストリート&バイカーズ」さんの最終号。これには私も思うところがある訳です。今年のご挨拶として少し話を聞いて頂けたら幸いです・・・

1990年代初頭にバブル経済が崩壊しその後円高による日本経済の低迷が続く中、Windows95が発売されると世界は本格的なパソコン時代へと突入、モーターサイクル業界も大きな変革を求められその景色は一変し2000年を超えて落ち着く頃には様々な変化が…ハンドルの横にはカーナビにスマホにETC…そしてインジェクションモデルにアンチロックブレーキにトラクションコントロール…バイクは壊れない事が常識なのよ…これが今のスタンダートとなりました。

最早バイクは人間がいなくても自立して走る時代です。バイクが勝手に立って自動運転で走るそうです・・・そんな光景を目にして私はぞっとした。バイクが機械の意志で走り人間は何もしなくていい・・・皆さん、皆さんは本当にそんなモノが必要なんですか? 一体世の中は何処へ向かっているんだい?誰か私に納得いく説明をしてくれないか?完全なデジタル社会の昨今、せめてモーターサイクルだけはアナログなモノであって欲しい。そう思うのは私だけなのかい?…

そうした中、雑誌の取材も変わった。今までは営業マンや取材者が頭下げて「お世話になります、よろしくお願いします!」 「おーっ、お疲れ様…暑いねぇ今日は…」 血の通うつき合いが出来ていた。それが突然「それはメールでお願いしますよ…」 「あっそれもメールでお願いします…」会った亊も無い奴に指示される。これに私は頭にきた! 「ふざけるな!お前が座ったままで俺がなんであたふたしなきゃならないんだ!」 直接電話で怒鳴りつけ、「二度と俺の前に出で来るな!…」 以後、私が取材嫌いなのは皆さん承知の通りだ。

そんな中一本の電話が鳴った。「ストバイと申しますが、取材に伺いたいんですが…」 今までの連中とは違った感覚に 「いいよ…」 私はめずらしく快諾していた。
「お世話になります、ストバイです…」 数日後に来た二人の横には2台のバイクがあった…「どうしたの?…これ乗って来たの?…」 東京都内ならまだしもここは兵庫の神戸だ。会った瞬間、彼らの意欲が他と全く違う事を悟った

自分の足と手と目で情報を掴み取ろうとする姿勢。それは私の仕事に対する概念と同じ方向を向いている。雑誌の世界に今更こんな非合理的な手段を使ってでも生の情報を得ようとする人間がいる事に私は安堵すると同時に、彼らは同じ土俵の上に立っている、尊重に値する存在だと…それが今も彼らと付き合っている理由だ。

2019年新年度のご挨拶・・・ストバイ最終号に思う事・・・

このストバイの最終号を手にして、私は強く思う事がある。毎月雑誌の発刊が待ち遠しく、出た途端に買いに行き、隅から隅まで目を通す。その雑誌の匂い、紙の感触、夢中になって読む事で知識が増えていく事への喜び…そんな状況を一般的な世の中の風景として残していけなかった我々に責任があったんじゃないのか…ショップの者から一般読者である皆さんに至るまで、もっと出来る事があったんじゃないか?…書籍業界全体を取り巻く厳しい環境の中でアナログな世界を残せなかった亊に大きく後悔した…

そして皆さんには知って欲しい…私が思うに何人もストバイの記事を容易く読まないで欲しい。何故ならYASさんは私と同じくモータースポーツの修羅場をくぐり抜け、挙句の果てに某ワークスマシンを取材し乗るに至るこの業界ではトップクラスの人だ。私なんぞ触れる事も出来ない夢のマシン、何億何十憶円も費やされたモノに乗れるなんて有り得ない話。そもそもモーターサイクルの走りの理屈をこの世界に初めて説いたのも彼らに起因するモノだ。本来そんな凄い人が書いた記事を我々は背筋を伸ばして読むべきだ・・・横に居るSIVAチャンも旺盛な取材への探求心が頼もしく、いつの日かそれが他を超えて大きな礎になり圧倒的な存在感を放つ事になる、それまで頑張って欲しいそう思う日々…そんな彼らの経験に裏打ちされた記事をもっと強い気持ちを持って読まなきゃいけなかったんじゃないのか…私はそう思った。

そして、皆さんも変わらなきゃイケない。いつまで頭を空にしてパラパラヘラヘラと走っているんだい?いい加減に少しは知的になったらどうだい?モーターサイクルとは本来非常に難しい乗り物だ。今走らせているのは只転がしているだけだ。それに満足している君達は正に馬鹿だ。前輪があって後輪がある、エンジンがあってスイングアームがある。それをほんの少しの知識を持つ事で何倍も安全且つ楽しく走れる、それに気づけよ!…高みを目指すのは何処の世界でも必要な事、そんな時必ず教科書が必要になる、それがストバイだったんだ。

私は他の雑誌を読みながら「適当な事書いてやがるなぁ…」 ネット検索に依存する低レベルな記事のなんと多い事か…そんな中でもストバイの記事は経験に基づいた真の記事だと知る者が読めば分かるもの。しかし、それが一般読者には分からずどの雑誌も同じに思える、そこが大問題。読者もそこんとこ鋭く読み解いて辛口の批判ができるまでにならなきゃ日本のモーターサイクル界のレベルは一向に上がらないじゃないか…

私は「ストリート&バイカーズ」がもう一度戻ってくると信じている。どんな形になるか私には分からないけれどそうならなきゃいけない。書籍の世界に於ける「ストリート&バイカーズ」とはモーターサイクルをアナログな位置へ留まらせる本物且つ最後の砦だと思うから…

私は皆さん知っての通り昭和生まれの昭和人間。昭和のアナログな世界を愛しデジタル社会を拒絶する時代遅れの男ですよ。馬鹿な男だとお思いでしょう。あぁそうだよ…今の時代だからこそ私はそんな大馬鹿で結構毛だらけだ。「機械に操られてたまるものか!コンピューターに牛耳られてなるものか!私は自分の人生を自分の頭と手と足で作り上げる為に生きている!今この時を刻々と過ぎゆく時間を一滴たりとも残さずガンと胸に刻むために生きているんだっ!・・・」それに共感して来たのは君達じゃないのか・・・

いい加減に目を覚ませ、トライアンフにしても何にしても古い時代の機械は二度と造られる事はない。我々とはもうすでにアナログ社会を死守する砦になっている。いいかい、クラシックモーターサイクリストたる者、その文化を後世に継承する義務があって、悪いけど君達が死んだって愛車は生き続けて行く、その為にも愛車のコンディションを常に最良に維持する事が君達の任務なんだ。

やる事はこうだ、
・先ずは愛車にありったけの愛情を注ぎ込む事!
・次に愛車と会話しつつ、思いやり、共にドンドンと走る事!
・そして、愛車を徹底して手入れし後世に恥ずかしくない状態を維持する事!
・最後にこの世界を守る責務を自分自身が担っているんだと強く自覚する事だ!


これからもコンピューターが完全に世の中を支配し益々それは進んで行く。それは否応なしに強制されAI知能とやらに侵されて行く。しかし、我がクラシックモーターサイクリストたる者、どんな時代に変わろうともアナログな社会を絶対に死守する事が責務だ。失えば再現する事が出来ない尊い々クラシックモーターサイクルはオーナーの愛が無ければ生きてけない・・・どうか自分の足でエンジンをかけ、どうか自分の頭で考えて、愛車と意思の疎通を図ると共に、ふたりで一つの人生を突っ走って欲しい。例え我々がデジタル社会からはじかれ世間からは冷たい視線を浴びる事になったとしても、か弱い愛車を守るのは君しか居ないんだ。例え君達が20代であろうとも60代であろうとも途中で諦める軟弱な人間であってはもうならない。ガツーン!と跳ね返しズトーン!と生きるんだ!

2019年新年度のご挨拶・・・ストバイ最終号に思う事・・・
「あっという間に過ぎ去って行く人生の中で、走るのは今なんだ!」 
そして最後にもう一度考えて欲しい・・・いいかい?もう猶予はない残りの人生なんてもう無いんだ。ストバイが戻って来た時こそ、皆さんの知識の礎として「新生ストリート&バイカーズ」を何よりの教科書として携え自己を高め昭和の景色を守って欲しい。そんな時代がそこから始まり、アナログ社会が再来し、クラシックモーターサイクルが復権できる日本社会を微力ながらも形作って行こうじゃなか!それもこれもオーナーである皆さん一人一人が強い志と自覚を持って走る事から始まると私は信じているんだ…
   2019年元日 布引クラシックス 代表 松枝


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Posted by nunobiki_classics at 17:37 │雑誌掲載など