2019年11月28日

嬉しい顧客からの便り…TRIUMPH T160 TRIDENT 東京都世田谷区Hさん


「先週末に久し振りの泊りがけツーリングにいってきました!」 2019年、今年の3月にレストア作業が完成したトライデント750。オーナーのHさんから連絡が・・・そして、「2日間で650km、長野の諏訪まで中央道でいってその後国道157号を南下、途中峠を混ぜながら浜松までいって東名で帰るコースです。天気に恵まれ紅葉も見事で最高でした!」 と・・・。


思い返せば・・・エンジンも丁寧に組みました・・・


英国ボーグ&ベック社製のクラッチ・・・かっこよかった・・・


リフト量の多いスペシャルカムシャフトに合わせたキャブレターのアジャスティングにギア比の選択・・・古臭さを感じさせない高速巡航性能をと考慮するも・・・


「ズゴォォーーーーーーーンッ!・・・ズゴォォーーーーーーーンッ!オリャー!・・・」っと、スピード出る出る・・・ 「・・・ちと、やり過ぎたかな?・・・まぁそれもいいや・・・彼なら大丈夫だ・・・」ってな話もあったような無かったような・・・ 


納車では、「取りに行きます!」っと540キロ先の東京世田谷まで帰ってくれた。それは正に布引スピリッツ・・・「来年、信州一緒に行こう!・・・」と、お誘いしましたよ。「これからもよろしくねHさん、トライデント大切にね、いつもありがとう・・・」 彼のレストア作業は→コチラ
2019.11.28 布引クラシックス松枝
  

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2019年11月14日

1964TRIUMPHT120R BONNEVILLE 沖縄県Kさん 車両直輸入プチ報告その2


2019年7月に注文を受け、その9月にアメリカから届いたボンネヴィルを神戸税関で手続き終えて工場に搬入・・・
※布引車両直輸入のくわしい状況は→コチラ


開梱してみると、「布引お手軽倶楽部最上クラス」のベース車両」としては抜群の状態・・・
※お手軽倶楽部は→コチラ、ブルジョア倶楽部は→コチラ


ぺトロールタンク(塗装が1963年になっている)、前後のマッドガード(ステンレス製になっている)、各ボルト類がクロームメッキされている(アメリカらしい)、を除けば超上出来「いいじゃない!・・・」


左回転のタコメーターもちゃんとあるしエキゾースト関係もオリジナルで前後のリムもダンロップ製が残っているしその他欠品もなくベース車両としてはベストチョイス!さすが布引クラシックさんですねぇ・・・(手前みそ)。


そして、オーナーのKさん、沖縄県は石垣島から飛行機とレンタカー乗り継ぎ遥々と再び来店してくれましたよ!(石垣島から2回も来てくれてます。) 


「…いいですね!」と開口一番、初めてのマイボンネヴィル、ふたりで梱包の枠を外して車両を取り出しイギリス生まれでアメリカ育ちのボンネヴィルに初めて日本の地を踏んでもらいました・・・「お疲れさま!」


1963~1965年のいわゆるクロスバッヂモデルは現存数も少なく市場に出回るモノは非常に程度が悪い。とんでもなく費用の掛かるような劣悪車両がはびこる中、こうした上物のベース車両を確保できたことは実は素晴らしい事なんだ・・・


そして前回の「広島もみじ饅頭」&「チーズケーキ」に続いて今回は「北海道のロイズさんのチョコ石垣島バージョン」 頂きました!・・・嬉しいですね。そう、松枝も生身の人間こうした心遣いが車両の仕上がりに大きく響く・・・やる気が全く違ってくる・・・キラッと輝くボンネヴィルになるのか?そこらへんに転がっている適当なボンネヴィルになるのか?ここが運命の分かれ道・・・これこそが布引流顧客対応法なのです・・・(半分嘘です!笑) そしてKさん、安心&喜んで帰って行かれました。とりあえず分解整備の着手迄、待っててくださいね。では・・・ 2019.11.13 布引クラシック松枝

  

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2019年11月10日

1959 TRIUMPH T110 東京都W様 修理作業 プチ報告その6


東京都Wさんのワンテンの塗装作業、ツートーンのカラーと上塗り作業完了しました・・・


塗装を剥離し、亀裂や異常を確認し、数か所の溶接修理の後、下地を整え、パテを入れる。パテは中目を一度塗り乾燥させ研磨する。更に細目を塗り乾燥させ研磨する、更にグレージングパテを塗り乾燥させ研磨する・・・何工程もの作業があってそう簡単にはいかない。更に1959年製となればヘコミ以外に腐食もあるしノーパテと言う訳にはいかない・・・


前後のマッドガードも同じ、パテを含めると120番から始め最終的に600番まで研ぎをかけて行く・・・塗装とは一にも二にも下地作業の連続。暗く地味な仕事をずーっとやらなきゃならない。下地にある不具合は塗りが完了した時点で必ず表に浮き出で来るから絶対に手抜きは出来ない、それが塗装ってものなんだ・・・


次は下塗り作業だ。最近主流になっている2液性のプラサフを試してみたが・・・これは厚みをつけられて乾燥後の研磨の幅もあるし錆を押さえ込む力も強い。更に密着性も高く素晴らしく高性能だ。今ではどこの塗装屋でも使っているとの事・・・


只、仕上がりにゴージャス感は出るもののシャープさに欠けクラシックカー的には使い難い。性能よりも質感を重視したいと思うから私はやはり1液性だ。


ぺトロールタンクについているモノはメネジのネジ山に塗料が乗らない為に入れている仮のスクリュー、詰め物をするよりも遥かに効率が良い。


白を塗った。色はいわゆる「アラスカンホワイト」歴代のトライアンフが使用する馴染みの色だ。そして、ツートーンの境にマスキングをする。この1959年のT110とT120は色が違うだけで塗り分けは同じ。只、US仕様とUK仕様では幾分の違いがある。これはUKなので後端の湾曲部分がUSよりも穏やかになる。


そしてブラックを塗る。この順序は白よりも先に黒を塗る方が手間はかからない。が、モノのセオリーとしてはこうなる。


異物が付着しないように最善の努力はするが、やはり数点の「ホコリ」はあるし「ブッ」も発生する。乾燥させた後に1500~3000番程度のペーパーで取り除き最後はバフ掛けをする。上塗りの前に中塗りの表面を整える事は大切な工程だが、やり過ぎるとクラシックカー感は下がる・・・


そして、上塗りをした。このクリアー色にも1液性と2液性があって、その最大の違いは塗膜の厚みだ。1液性は薄くクラシックカーに最適な質感を得られる、反面2液性は後の磨き作業に耐えるだけの十二分な厚みが確保できる・・・


個人的には1液性を好む。もっともガソリンや紫外線やなにやらで現代人の価値観も変わってしまった。古いクルマやバイクが好きだと言ってるクセに塗装が薄くなるのは許せないと言う・・・そうした時、私は2液性のウレタン系塗料を可能な限り薄めに塗り、後のパフ掛けも最低限度に抑える。そうすれば耐候性を保ちつつクラシックカー的な質感を確保できる・・・


2液性のウレタン系塗料は常乾塗料ではないから加熱が必要、充分に塗膜が硬化した後、ゴールドでラインをひけば外装の塗装作業は全て完成だ。松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 21:18作業中車両のプチ報告

2019年11月04日

2019.11.01-03 信州こっそりツーリング、㊙報告です。


秋晴れの下、憧れの信州をこっそり走って来ました…


「車検出すのに東京から走って行きます!・・・」Y氏の依頼に「では、待ち合わせはROCKで!」 これがこの旅の始まり。松枝は兵庫芦屋からY氏は東京都足立区からそれぞれ自走で集合です。


ここは清里萌木の村にある「ROCK」、今やこんなに立派になったけど、当初は車輪のついた小さなログハウスでカウンターとテーブル席少しの小さな店。20代の頃訪れて食べたカレーの味とコーヒーは今でも忘れられない松枝の大切な思い出。久し振りにここのカレー食べさせて頂きました!ん~っ感動しました・・・(涙)。でも、ちとボリュームあり過ぎかな?感極まって意地で全部食べたら後で死にそうになりました!「ROCK」は→コチラ


11月のビーナスラインも春の陽気、「天空へ突き抜けるぞー!」って・・・


富士見高原辺りではこの景色!・・・兵庫県ではあり得ない雄大さ・・・「はぁ~気持ちいい・・・」


ここは八ヶ岳高原ライン、県道11号。松枝はこうした標高の高い雰囲気が好きなんです・・・


木立の感じが兵庫とは全然違うほどにオシャレ!「六甲山もいいんだけど、やっぱ違うよなぁ~信州いいなぁ~」なんて・・・でも、こうした自然も誰かが守っていてくれるからなんだ、静かに穏やかに走らせてもらう心を忘れちゃイケない「ありがとう、森を守っている人達、そして住人である動物たち・・・」


こうした信州の道って非日常的だから、なんだか走っていてもロマンチストになってしまう・・・


都会ではまだなのに、やっぱりここはもう秋なんだ・・・


ホンモノの牛さんにも会えました(後ろに小さく写ってる)・・・
※・・・今回使用させて頂いたストバイバック、とっても重宝しました!旅に便利なストバイ製バックは→コチラ)


そして、今回の旅のハイライト! 動物好きの優しい心の持ち主の松枝は馬が大好き。見てくださいこの愛らしさ!それでもつながれているのが気に入らず「ヒモを外して放してやりたいなぁ・・・」思います。


備えてあった「ポニーのおやつ」中身は切ったニンジン、300円を箱に入れて「ポリッポリッ!」と、彼に食べてもらいました・・・どんなモノに人生がある。人にもモーターサイクルも、そしてこの愛らしいポニーにも・・・あさって11月4日を最後にこのビーナスラインも閉鎖される。そしたら「もうこんな事しなくていいんだよ・・・」 優しい目の彼とお話ししましたよ・・・


そして1000キロを超える旅に、Y氏の愛車1955年のR50君もちゃんと走ってくれましたよ・・・ 彼の過去の作業その1→コチラ、その2→コチラ

そして機械式の点火装置にオリジナルの電装系統の純スタンダードなA65Tも頑張りました・・・


今回、少し時間を頂いて憧れの信州まで旅をさせて頂きました。機械式のモーターサイクルでもしっかりと整備すればこうして1000キロを超える旅にも悠然と頑張ってくれる・・・オーナーと愛車が正にひとつになれるのがこうしたロングツーリングであると実感させられた旅でした。皆さんも如何ですか?モーターサイクルを好きだと思うなら愛車と共に長い旅に出てみては・・・2019.11.04 布引クラシックス松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 14:00旅をして来ましたよ!

2019年10月24日

1973 NORTON COMMANDO 850Mk1A 兵庫県K様 納車報告です。


古いモーターサイクルはカッコよく見える。しかし忙しい現代社会においては充分な整備を与えられず不調なままな場合が多い。「バイクは故障なんてしないぜ、3年保証が当たり前だろう?・・・」コンピューターと消費者保護法に守られ、どっぷりとぬるま湯に浸かり切った現代人には1970年代までのモーターサイクルは最早扱えない。そんな時、各部をモディファイする事が有効となる。理想を描く事は良いが現実を直視する事も大切。そこで今回は不要なトラブルを避ける堅実派のための対処方法を改めて紹介したい。


古そうなステーターコイルを先ず交換せよ!
モディファイの筆頭は何と言っても電気系統だ。その中の核が発電装置、中央の丸いモノが中に永久磁石を配したマグネットローター、その廻りが複数のコイルで構成されるステーターコイル、電磁誘導作用を利用して交流電流を発生させる発電機だ。


1960年過ぎから使われるルーカス社製のステーターコイルはRM19で始まり1960年終盤からRM21に変わる。交換の目安は6V車12V車共に35W程度の前照灯の場合はRM19で容量を満たす、前照灯に60/55W程度の電源を想定するならばRM21を選択。ETCやUSBの電源が必要と言う変態性英車乗りの場合はRM21にすれば安心だ(笑)。


レギュレーター&レクチファイア交換で安定性を担保せよ!
一般的に自動車では交流を直流に変換し用いている。黒いモノがルーカス社製のレクチファイアでステーターコイルから来る交流電流を直流電流に変換する。


更に、回路内では一定の電圧の幅に抑える必要もある。これはツェナダイオードと言って回路内で余剰になった電気エネルギーを熱エネルギーに変換、放熱する事によって電圧を一定の範囲内に制御するものだ。


それに対するこれが現代のレギュレーター&レクチファイアで、今言った双方の機能がワンパッケージになっていいるもの。モノによってきめ細かな制御を可能とし回路の安定性を図る。で、旧式であるオリジナルのシステムでも正直なんら問題の無い性能を発揮する。だが次の話の為には交換が必要になってくるんだ。


どうせしないバッテリー管理、それならМFバッテリーを入れろ!
オリジナルのバッテリーとはこのような希硫酸を用いるいわゆる液入りバッテリーが使われる。中の液面が数か月単位で下がってくるから定期的に補水しなければならない。この時代の当たり前の話だ。


で、皆さんに「定期的な補水が必要ですよ!」と言っても100%見る人はいない。どんなにやりますと言っても結局はしない。これは私の経験から言って実証されている。よって無駄な抵抗はやめてさっさとМFバッテリーに交換するべきで、その為には先の作業と対で行う必要がある。


古そうなメインハーネスは命取り、必ず交換せよ!
これはメインハーネス、車体を張り巡らす神経の役目を果たす。電気は目に見えないから、古いと思えば思い切って交換して欲しい。何故なら交換する事によるデメリットはないが、交換をしない事でのリスクは至る所にあるからだ。


で、こうした電気装置を完全整備する事が堅実派の第一歩。とにもかくにも電気装置は完全整備以外にない。


イグニッションシステムなくしてエンジンの完全整備はない!
そして最後は点火装置。1970年代中盤位までの自動車の世界では機械式の点火装置が一般的だった。欠点はコンタクトブレーカーの接点に結構な電流が流れやがて焼損し、何れエンジンの調子を崩してしまうこと。その為に定期的なメンテナンスが必要になる。


しかし、忙しい現代人である皆さんが、オリジナルの機械式点火装置の調整を的確にしますか?接点を磨いて整えて、ギャップを調整して、エンジンかけてタイミングを調整する・・・そんな時間ありますか?無接点式なら何もしなくて結構です。いっつも快調全くのノープロブレムです。ビギナーなら最初は無接点式でスタートし、機械式に興味が湧いたら交換すればいい。先ずは存分に走って愛車を理解する、その上でオリジナルに戻すならその意味も更に分かる訳だ・・・


不安定な英国車の諸悪の根源はこのアマル社製キャブレターにあり!
もう既にこの話は布引流英国車講座で言ってるので手短に言うと、熱帯地域の日本の真夏にアマル社製キャブレターを使うな!っと、こういう事。それでも走るなら、エンジンをキャブを冷やす工夫をしろっ!・・・でしたね?


世界最高品質のキャブレター生産国はこの日本です。京浜に三国工業ではとんでもなく素晴らしいキャブレターが訂正価格にて販売されています。海の向うアメリカではこうして日本製のミクニ製のVMキャブレターに換装する事が一般的。取り付けると・・・夏も冬も関係なし「オールシーズン、エッブリデイ、&エッブリタイム イッツァ ファンタスティック!・・・」アマルのキャブレターに疲れ果ててしまったら一度試す価値あり。後は皆さんが上手になってから改めてアマル社製キャブレターに戻せばいい、それだけの話なんだ・・・

では、ビギナーに対する対処法をまとめます・・・
・充電装置&メインハーネスは刷新せよ!
・点火装置は我がままなやんちゃ坊主、あっさり交換せよ!
・アマルのキャブは諸悪の根源、完全整備と運転センスがないならあきらめろ!


では、本題に戻りたいと思います・・・
今回のオーナーは地元兵庫県のKさんで、50代のいわゆるリターン組だ。で、彼が選んだコマンドには先に紹介したフルトランジスター点火装置に充電装置にメインハーネスなどの作業が既に盛り込んである。


その他、アイソラスティックにエンジンのO/Hなども過去に作業済み、ホイールから車体、エンジンから電装系統へと全ての状態が高いレベルに維持されている。


只、このアマル社製キャブレター932は状態も調子もすこぶる良く是非使いたい。直前にO/Hも行っている。


全ての整備を終えた後、新規検査を受けて試運転へと進む・・・


そしてコマンド850を走らせた。「ズバッバッバッバッバッバッ!・・・カッコンッ・・・ズバッバッバッバッバッバッ!」 


コマンド750をベースにボアを73から77mmへと拡大しストロークは89mmに圧縮比は8.5:1、キャブレターはアマル社製932だ。数値ではその変化は小さいかもしれないが、そこには750とは全く違う世界が待っている!


「ズバッバッバッバッバッバッ!・・・」 先ずサウンドの太さが違う。その違いは明らかで750にはない力強さが吠える・・・


山間部に入り駆け上がって行くと、これがまたいい。「ズバッバッバッバッバッバッ!・・・」後輪の蹴る感覚も格段に増していて笑う位に頼もしく180キロ台の軽量な車体が完全にそれに寄与している・・・


コーナーでは右に左に思う存分やっていい。「ズバッバッバッバッバッバッ!・・・ズッドゥーーーーン・・・カッコンッ・・・ズバッバッバッバッバッバッ!」 とにかくトルクの厚さが全てをアリにしてくれる。回転が下がり過ぎても上手に微妙にスロットルを廻せばエンジンはついてくる・・・それが次へコーナーへの足掛かりとなる・・・


倒せばぐっとステアリングヘッドが下がり旋回から逃げない。前後19インチ大径ホイールにつく細いタイヤでも逆にシャープに弧を描けるからその軌跡がはっきりと伝わる。「ズバッバッバッバッバッバッ!・・・ズッドゥーーーーン・・・」開ければトルクの強さで軽い車体をグングンと押し、倒せば4.10-19インチがスーッと旋回をしてくれる。それは々何度やっても楽しいんだ・・・


繰り返すけれど、5mmのボアの拡大が単にトルクの増大に留まらず、車体としての性格までも大きく変えている。ややもすると750の優れたバランスを崩すことになり兼ねない恐れもあったろうに、逆に更に前へ前へと積極性を醸し出し、大排気量車の強さを見せると同時に750の繊細なコーナーリング感覚を失わせずまとめあげている 「なんというモーターサイクルなんだろう・・・」 そして、高速道路、国道9号線に県道をつなぎあっという間に山陰は餘部鉄橋に着いた・・・


私も過去に多くのコマンドを走らせた。どのモデルに乗ってもその楽しさの源は機関から発せられる鼓動感に他ならない。ファストバック、ロードスター、インターステイト、ハイライダー、プロダクションレーサーレプリカ・・・ところが同じ構成を持っていてもモデルが違うだけで大きく乗り味が変わってくる側面もあるし、更に同じモデルでも個々によって違ってくる。時には微妙に、時には大きく変わるその感覚の違い・・・何れにしてもコマンドは、どんなモノに乗っても笑う位の楽しさを乗り手に与えてくれる、それはみんな変わらないんだ・・・


そんな中でも、このコマンド850Mk1A インターステイトは抜群に楽しめる部類だ。大らかさを武器に何に対しても怖いモノ知らずに突き進んでいける。要するに「戦車とフラミンゴが同居するコマンド850Mk1A」と、表現できる・・・素晴らしい、こんな都合の良いモーターサイクルが今あるだろうか?「何だったらこのまま能登半島まで行ったるぜっ!」俄然そんな気にもなる・・・


そして空を見上げれば夕陽が空を染めている 「あぁ…なんて清々しいんだろう…」 無論、何をしても人の勝手だし皆に古いモーターサイクルに乗れなんて言った覚えもない。けれど、こうして1973年製のコマンドを走らせ遠くに居るとそれには明確な違いがあって何とも言えない価値観がふわ~っと空から降り注いでくる・・・


芦屋の街から日本海までこのコマンド850は私を安全に運んでくれた。革のジャケットにお気に入りのヘルメットにスチール製の愛車・・・そんな時、自分が少し男前になった気にもなる 「俺ってイケてる?・・・」 流石に私にはもうそれはないが、モーターサイクルを愛する男なら皆勝手に主役になってんだ・・・そう、Kさんにもそうなって欲しい、彼にもう一度「男前」になってもらいたい・・・その為にこの「エイトフィフティー」を準備して来たんだから・・・


そして、納車の日が訪れた。Kさんにはしっかりしたヘルメットにブーツやちゃんとジャケットを着るようにと言ってある。体が硬いからストレッチで備えてくれ・・・とも言ってあった。


彼は学生時代ラグビー部に所属し体には自信があると言っていた。それでも彼と共に走る練習をする。「ズドッドッドッドッドッドッン!・・・カコン・・・ズドッドッドッドッドッドッン!」 最初は戸惑って当たり前なんだ・・・


そして、その走り込み?は1時間以上も続き徹底して慣れてもらった。古いブリティシュどころかバイクに乗るのも久し振りの彼には大変な一日だったのかもしれない。それでも人生は一度きり、それは彼にも同じ事。ラグビー部で鍛えた体と根性があるのならここから這い上がって完全に愛車を乗りこなす事が筋書だ。


誰も頼れない、走れば己の力で進むしかないモーターサイクルの世界。その為に冒頭のモディファイを施し備えてきた。それは間違いなく彼のモーターサイクルライフの成功への手助けになる。頑張って頑張って汗して涙して突き進む事を、50代になってもやり遂げなきゃ男じゃない!苦労が多い程、達成した時の幸せは尊いモノになる。絶対に男前になるんだ!きっと彼ならなってくれると私は信じている・・・     2019.10.24  布引クラシックス 松枝

作業中のプチ報告はこちらです→その1その2その3

試運転コース


参考記録
一般道走行距離・・・・・・・・230.9km
高速道路走行・・・・・・・・・・211.8km
総走行距離・・・・・・・・・・・・442.7km
ガソリン使用量(ハイオク)・・・17.85L
燃費・・・・・・・・・・・・・・・・・・24.76km/L
タンク容量・・・・・・・・・・・・・24L(5.3Imp.Gal.0)
航続距離の目安・・・・・・・・495km(20L)  

Posted by nunobiki_classics at 20:45作業完成報告 ノートン編

2019年10月14日

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その4


コマンドのステアリングには2タイプあって左側が1971年以降のレイターモデル用、右側が1970年までのアーリーモデル用だ。アーリーモデル用は前モデルのドミ系そのままでステム径が細く強度的余裕はない。 


それを1971年モデルからコマンド専用のモノに置き換え、以後コマンドのステアリングに対する不評はなくなる。1980年代を念頭に入れたモーターサイクル開発の素性として重量が重い点を除けば素晴らしい出来栄えと言える。


モーターサイクルの要であるステアリングのベアリングとは、ボール&レース式が使われ1980年代頃からスポーツモデルにはテーパーローラーベアリングが採用され始める。しかし、コマンドにこうしたモノを使うと操縦感覚を損ねる。シールがついているので分かりづらいがコマンドのステアリングに使われているモノは単なるボールベアリング、ここがコマンドの「ツボ」。仮にあなたがコマンド通だと自負するなら「コマンドはボールベアリングじゃなきゃいけないよ・・・」っと、既に理解しているはずだ。



前回完成していたフロントフォーク。マッドガード用のスタッドボルトが折れ込んでいる・・・


通常、それ程難しいモノじゃないが今回は言う事を聞かない。で、溶接し肉盛りすると熱によってもネジが緩み簡単に外れる事が多い。しかし、何をしてもこいつは外れない・・・


そうした場合は頭をサッと切り替える。ケースを単体にしてきちっと取り外す事にする・・・この転換が大切だ。先ずは、垂直を出す。モノが楕円形なので正確にアングルを出す・・・


折れ込んだ端面は歪だからドリルのキリが当たりづらいので、先ずはフライスで面を出す・・・穴径をフライスのゲージに当て込んで正確にセンターを出さなければ後で厄介になるから正確に測る。


で、折れ込んだボルトは1/4インチだから、その分をキレイに取り除く太さのドリルでもんでいく・・・


で、ネジ山の再生にはヘリサート加工するので、それ用に太さの穴を再度開ける・・・


更にヘリサート用のタップでネジを切る・・・


最後にヘリサートの玉を挿入する・・・これで、意地でも外れないと折れ込んでいたスタッドボルトが正常に使えるようになった・・・最も、皆さんはこんなちっぽけなスタッドボルト1本など興味を示さないだろうし、ここにこうした手間暇が掛けられているなんぞ知る由もない。それでもやはり正確に直さなきゃならない・・・「はぁ~」後に残るむなしい倦怠感・・・これがわびしい自動車整備士の悲しい性なんだ・・・


これで、MarkⅢのステアリングにロードホルダーが完成した。コマンドは皆さん知っての通り前モデルのドミ系よりも格段に走行性能は上がっている。それ故にこうしたステアリングにフォークが重要になる。走りの良さや旋回性能を問う場合、特にフロントの制動性能を上げたモノなどでは、どうしてもレイターモデル用のステアリングが必須になる。しかし、ドミ系そのままの細い細ーいステアリングステムそのままのアーリーモデルでは、頼りない走りに挙動が乱れても、そこに時代の味や古いモノを扱う醍醐味が含まれる。個人的にはアーリーモデルの味が好きだけど、少なくとも850MarkⅢではレイターモデル用でなければ走れない。つづく・・・



  

Posted by nunobiki_classics at 21:40作業中車両のプチ報告

2019年10月06日

1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A 兵庫県Kさんプチ報告その3


兵庫県Kさんのコマンド850、先日試運転に行って参りました。山陰地方は餘部鉄橋から竹野海岸、久美浜へ・・・


更に、京丹後網野町を経由し丹後半島の先っちょ経が岬をぐるっと回り宮津まで、走ってまいりましたよ!彼のコマンド850は終始快調「ズドドドドドドンッ!・・・」っと、快音響かせてくれました。後日、ブログアップ致します。是非ご覧ください。松枝  

Posted by nunobiki_classics at 20:18作業中車両のプチ報告

2019年10月06日

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その3


850マークⅢの塗装作業その2、車体の完成に向けてパーツの塗装を進めています。今回はスイングアームにバッテリートレイとか・・・


MarkⅢ専用のパーツもちらほら、ヘッドステディーにハンドルバーのキャップもあります。これで車体の塗装作業は完了。この後、ホイール関係の作業へと、スポークを張り替えベアリングの交換などを行い車体の完成を目指します、では・・・松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 20:04作業中車両のプチ報告

2019年10月06日

1959 TRIUMPH T110 東京都W様 修理作業 プチ報告その5


東京都WさんのT110、塗装作業の続きです。右からオイルタンク、ダイナモのカバーにフロントスタンド・・・


右からバッテリーケース&ツールボックスにエンジンプレートのリアカバーにリアのマッドガードのステー・・・


そして、バッテリーケースのリッドです。で、その後ぺトロールタンクに前後のマッドガードへと作業進めます。松枝  

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2019年09月27日

1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A 兵庫県Kさんプチ報告その2


スロットルとはモーターサイクルにとって最も大切な装置。楽しく走る為の操作性と命を守るべく安全性が同居する要の部品。オリジナルのスロットルはもう耐用年数を超えて危険だから交換する。ところが新品と言ってもそのままでは使えない。アンチモンのボディーにはバリが出ていて引っかかりが有るなど操作感が至極悪い場合が多い。「スーッ・・・スーッ・・・」と納得の状態に持って行く。


ホイールベアリングも交換、雨風しのげるシールドタイプとしメンテナンス性を上げる。


実は、1971年以降のコマンドのプロップスタンドとは実に困ったモノ。50センチを優に超える長さ故、使うととつけ根がひん曲がってしまう。で、直す為にはプライマリーチェーンケースを取り外さなきゃならない。


丁度クランクシャフトの下あたりにスタンドのベースがあ。今、アセチレンガスをあてて曲がりを修正したところ・・・


下から見たところで、ここに長ーいスタンドがつく・・・


これが正式な状態。これでは1970年までのアーリーモデルのスタンドの方が全くもって理にかなっている。モノが正しい方向にばかり進化するとは限らないのが英国車。で、レイターモデルのプロップスタンドを使う時にには「そっと・・・そおーっと・・・」 と言って念じる事が原則だ。


そして、インターステイト用のグラブレールも装着・・・これ新品です。


マスターシリンダーは最近オーバーホール済みであるものの納車前にフルード交換、パッドも新品です。更にエンジン、プライマリーチェーンケース、ギアボックス、フロントフォーク、全てのオイルを交換。


これ何だか分かりますか?皆さんが最も操作する回数の多いクラッチレバーのピボットボルト。良く見ると左の古い方が摩耗していますね、交換しました。(些細な事だけど大事です)


で、こうした操作する箇所は人間の感覚に直結するモノなのでより丁寧に仕事します。レバーを外して軸受け部分を清掃して給油する・・・更にクラッチ、スロットル、リアブレーキ等々各部のケーブルを入念に給油します。構造に素材に全てがシンプル故にこのひと手間が大切になるのです・・・


「ズドゥーーーン・・・ズンズンズンズン・・・」 そしてここは魚崎浜にある神戸の陸事、新規検査受けて来ました。そしてこの後、試運転残すのみとなりました。帰ってきたら改めてご報告したいと思います・・・松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 20:29作業中車両のプチ報告

2019年09月25日

1964TRIUMPHT120R BONNEVILLE 沖縄県Kさん 車両直輸入プチ報告その1


先週、沖縄県石垣市のKさんのボンネヴィルが神戸港に入港・・・そして今日、朝から通関手続き&通関検査受けて来ました。


ここは神戸税関ポートアイランド出張所、後ろに見えるのは北埠頭駅。潮風香る港町、以前の布引クラシックスはこの目と鼻の先、よくここまで試運転に来てましたね、懐かしいです・・・そんな話はどうでもいいんですが・・・


朝一の九時から初めてなんだかんだと終わったのが正午2分前。晴れて保税地区から解放され自由に搬出できる身となりました・・・(保税地区内は写真撮影禁止なので写真ありません。)


お腹が空いたので税関の職員食堂でランチ。このカツカレー最高に不味いんです!・・・でもこれだけ不味いと逆に気にならない「職員食堂ってこんなもんよ・・・」これで済んじゃうんですね。 「神戸税関ポートアイランド出張所職員食堂」 皆さんも次のデートに如何でしょうか?・・・


さて不味い食事の後、慎重に走り工場に搬入致しました。昔は木の梱包が今ではスチール製になって、簡単軽量になりましたよ。


このね、開ける時って相当ワクワクしますよ。もう何回したか分かりませんがいつも感動するんです。


そりゃあそうでしょう・・・アメリカやイギリスから海を越えて遥々とやってくる。連れて来られたこの子たちを立派にする義務がある・・・沖縄の石垣島から注文くれたKさんの心中とは・・・いろんな想いが込み上げてくる。「最高の1964年を作ってやるぞ!」 そっと誓いましたよ・・・松枝
「布引流英国車直輸入のご案内」・・・→コチラです。
  

Posted by nunobiki_classics at 19:56作業中車両のプチ報告

2019年09月20日

1969 NORTON COMMANDO 750 東京都T様 車検整備プチ報告その1


二年前にフルレストア作業をおこなった1969年のファストバック。東京のTさんから嬉しい車検整備の依頼を頂き、早速ご自宅へ愛車を引き取りに伺いました・・・


前回私はその状態の悪さから、あえてステンレス製のスポークを組み込んだそのホイール・・・以前のレストア作業は→コチラ


今回、引取の時に「スポークをスチールに変えてくださいよ…」なんだか上から目線で言われましたね・・・ 早速バラシました。両側のモノがステンレス製、内側がスチール製の亜鉛メッキ。下のニップルは左側がステンレス製だ。


組み替えたホイールは二方向の振れを一旦とる・・・


おおむね1980年代以降のバイクでは、片側の高さを正確に記録し再度その通りに組み直せば車体に於けるセンター性は維持できる。


ところが英国車のような古いモーターサイクルの場合、部品の誤差やその都度の事情などで寸法が微妙に変わる。どんなに過去のデータ通りに組んでも数ミリの違いが生じ再度やり直す羽目になる。私のコマンドと彼のコマンドが同じ数値だと思ったら大間違いだ・・・


もともと英国車の場合、意外にもタイヤとマッドガードとの隙間が狭い。ステアリングのライン上に来るように・・・将来誰かが太いタイヤを入れた時のマージンは・・・後の作業者がケガをしないように・・・その他様々なシチュエーションを考慮し正しく仕上げてやる。


リアの場合、チェーンガードとの隙間はゼロに等しいから厄介だ。で、そもそもホイールと車体とのセンターは合致していない。スイングアームも含めて左右対称にはない・・・重量的な配分もそこにはある・・・


そんな中でも理想の位置へ持って行こうとするが、過去のデーターはやはり役に立たない。個々の事情に合わせて・・・自分の経験をもってして・・・この車体の将来をも鑑みて・・・何処の位置にセンターを持って行けば良いのか・・・僅か数ミリの話しなんだけど神経集中させ真剣に作業する・・・スポークの1本々にニップルのひとつ々に・・・その想いは込められている・・・


クラシックモーターサイクルの世界ではこうしたホイールバランスは余り重要視されない。しかし、車体剛性の低い英国車、特に車体の振れに弱いコマンドの場合必ず適切に取るべきだ。そしてこの時代のタイヤとて重量的に形状的に真円を出せてはいない・・・精度の低いリムに、個々違う位置、タイヤの精度も低い状況だからこそコアとなるホイールをベストに持っていく。大径のホイールだからとか…リアはとっても仕方がないとか…生意気な話しはよせと言いたい・・・


で、肝心の材質の話し、やはりコマンドにはスチール製が似合う。奥がステンレス製で手前がスチール製・・・この違いは歴然。だが本当は亜鉛メッキのそれってお世辞にもきれいだとは言えない。どんよりと鈍い輝きなんだけど、なぜピカピカ光るモノよりも断然の美しさを放つ!ここが正に古いモーターサイクルのおもしろさなんだ・・・


そして亜鉛メッキは弱い・・・やがて薄くなり錆も出る・・・だけれどもウエスを持って労わるようにそっと手入れしてやろう・・・愛車の足元が傷んで来たならやさしく撫ででやろう・・・競走馬のスネを拭ってやるようにそっとそっと触れてやろう・・・それがクラシックモーターサイクル愛ってものなんだ・・・


そして、フロントフォークのオイルを抜いた・・・


これが2年間走り続けたオイルだ。


「英車ってサイコーっすね!・・・」皆さんはブリティッシュで走る事は楽しいと言う・・・・


だが、ここは100mmものストロークを「ガッツン!ガッツン!」と伸縮させられる。ブレーキをかけられ、コーナーを曲がり、ドーンと加速されまくる・・・そんな酷い仕打ちを受けているフロントフォーク、それを守れるのはこのオイルしかないのさ・・・


リアショックアブソーバーもしかりだ。この狭い筒の中にでもオイルは酷使されている。知らないうちに温度は上がり気泡が混ざったりもする・・・それでも楽しいからとガンガンに走らされ酷く摺動させられている・・・クラシックモーターサイクルだからサスペンションは無視していいなんて話はどこにもないんだ・・・松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 22:21作業中車両のプチ報告

2019年09月16日

1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A Interstate 兵庫県Kさんプチ報告その1


兵庫県Kさんに購入頂いたインターステイト。納車に向けた整備を進めてます。今回のコンセプトは「大人に向けた英国車のあり方」・・・若かりし頃にブイブイいわせて走り回っていたものの、今回リータンして乗るのがなんと古い英国車!・・・そんな無謀な行動に応える為の仕様!・・・なんだかおもしろい事になりそうです・・・


英国車デビューとなるKさんの求めるところは絶対的な安定性・・・その中でも最も大切なモノは電装系統。で、その要がメインハーネス、人間で言うところの中枢神経、根幹から信頼性を築きます・・・


その電装系統の中でも核となる部分が充電系統。レギュレーター&レクチファイアも刷新、必要なプレート等を製作します・・・


で、余剰な電気エネルギーを熱エネルギーに変換し放熱するのがこの仕組み。なので可能な限りフレッシュな風に当たる位置に取り付ける。


たかがバッテリーとおっしゃいますが、バッテリーとは大型のモーターサイクルにとって大変重要なモノ。何度でも言うけれど、バッテリーがなければエンジンには基本的に火は飛ばない。エンジンをとめて、さぁスターターを踏み込んでもバッテリーに十分な電圧がなければ家に帰る事は出来ないんだ。・・・大切な電気の話は→コチラ


で、Kさんの場合はバッテリー液を補充したり定期的に補充電をする事は非現実的な話し。なのでメンテナンスフリーバッテリーを搭載。更に、使用頻度の下がる季節にはトリクル式充電器を接続するためのカプラーも取り付けている。


これはコマンドでは陰の重要部品。丸いモノはグロメットで、中を通るモノを振動から守る為のモノ。長い間使われているとゴムが変質し硬化する、更に振動で破れてしまう・・・


で、リアブレーキペダルの下にはブレーキスイッチがあって、その為の長い配線が通る。しかし、それは高温のエキゾーストパイプと平行するため非常に危険だ。なにが危険か?・・・当時の英国車ではヒューズが一系統しかない。万が一、この配線がエキゾーストパイプに触れるとショートする
→ヒューズが飛ぶ→エンジンを含めた全てが停止する。走行中にエンジンが止まった場合、不慣れな者なら驚き慌ててしまう・・・その原因がたった一個のグロメットだとしたら・・・皆さんが全くもって気にもかけないこうした小さなゴム製パーツこそ正しく整備しなきゃならないんだ・・・


1970年代の英国車を代表するヘッドランプと言えば、ルーカス社製のP700系。見栄えはいいけど実際には前は殆ど見えません。バルブをH4やなんかに交換しても基本見えません・・・悪い事にコマンド850は走ります。走ろうと思えばガンガンに走ります・・・しかし、それでは危険過ぎる。Kさんには夜でも前方を見えるモノにしなきゃイカン!・・・で、取り付けたのはクラシックな凸レンズでありながら60/55WのH4バルブが入りシャープにカットの入るちゃんと見えるレンズ。嬉しい事にちゃんとポジションランプも入ります・・・で、この場合、凸レンズを死守したところがミソ、いくら集光性が高いからとフラットや凹レンズだけは入れちゃダメ、コマンドが台無しになります・・・


今回は大切な電装系統についての作業でした。元々トライアンフなどに比べてコマンドは電気的に安定性の高い回路となっていますが、更に信頼性を上げる作業を施しました。これで英国車デビューとなるKさんの為の電気廻り整ったわけですね、良かったです・・・次は車体整備なんかをご報告する予定です。つづく・・・松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 11:44作業中車両のプチ報告

2019年09月10日

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その2


「ズッドゥーーン・・・ズバババババッ!・・・」 コマンド850の走りは楽しい。ブレーキをかけコーナーに進入しアウトに駆け抜ける時の得も言われぬ爽快感・・・何を言ってもそれが「コマンド エイトフィフティー」の魅力なんだっ!


で、そんな走りを支える「名品 ロードホルダー」 だがそれは英国車の常、その殆どが分解すらされずにいる。 だが、私は絶対にスルーはしない。楽しい走りを支える大切なモノだからこそ全てを分解し洗浄し精査する必要がある。


フロントフォークには二通りの働きがあって、その一つが衝撃を和らげる「緩衝装置」。このアロイ製のボトムケースと鋼鉄製のスタンチョンが丁度「単眼鏡」のようにスライドし、それをコイルスプリングが受け止め路面からの衝撃を緩衝する働き。


もうひとつは、いわゆる「バウンド」を押さえる働き。先のコイルスプリングとは一旦跳ねるとどうしてもそれを繰り返す特性がある・・・で、このカートリッジ式のダンパー、空のままだとスカスカに動くが一旦オイルで満たされるとぬた~っと意地でも動かない構造になっている。それを利用してスプリングの反動を押さえ込むモノだ。地味だか無くてはならない大切な装置だ。


当時のスタンチョンはぶ厚く強そうに見えるが現行車と比較すると弱く曲がり易い。よって多くに曲がりがあるから必ずこうして測定し修正する。


こちらはオイルダンパーのロッドで、これも同様だ。皆さん知らないがこれに曲がりがあると、てき面サスペンションとしての性能が落ちる。アロイ製のキャップとのクリアランスや摩耗にも大きく影響するから絶対に曲がりがあってはイケない。


これはボトムにあるオイル用のドレーンプラグ。長年の使用に山が変形している。これでは後のオイル交換時に支障を来す・・・


オイルシールやブッシュの交換に加え、こうしたプラグや紙やファイバーのシール材などの些細なパーツを丁寧に交換する・・・こうして主要構成部品を精度高く修正し消耗部品を交換し全ての動きが1975年らしく復元された。コマンド850の走りの良さはこうした地味な作業の上に成り立っているんだ。


因みに、こうした時にコンパウンド等でアルミをひと磨きしてやるといい。


左が今磨いて初めて輝いた瞬間・・・で、皆さんにはこの「輝き初め」を重んじて欲しい・・・鏡面仕上げでは余りにも悲しい、せめてこの程度に抑えるべきだ。 そうだろう?…考えて欲しい1975年製造当時のショールームを…店の奥に鎮座するロードホルダーは決して過度に輝いてなんかいない…メーカーから出荷されたままのそれは鈍く灰色のアルミニウムがキラッと幾分の輝きを見せる程度だった…それが丁度「輝き初め」のこの状態と同じだ。英車好きならそうした時代の情景に思いを馳せる事が真にブリティッシュモーターサイクルを愛する事だと私は思うんだ・・・松枝






  

Posted by nunobiki_classics at 20:54作業中車両のプチ報告

2019年09月07日

「神戸トルコライスさん」 行ってみませんか?


神戸市兵庫区の国道428号線有馬街道沿い、神戸大学医学部附属病院前にある「神戸トルコライス」さん。ここにはいろいろなシキタリがあって、なんだか楽しい店なんです・・・


ランチタイムは超満員、忙しいのに注文する時にはいろいろ言わなきゃならない。「カツ?大?ダブル?ソース多め?タルタル倍???・・・」お店のお兄さんが続けざまに聞いてくる。で、こっちは「はっ???・・・」って、そうなんです、迷っている暇なんてないんです。


「カツの脂身が多め、普通、少なめ、なし?・・・」 「エビカットにタルタルにキュウリ抜き?・・・」 「テイクアウト可能でドリンク持込可ってなんで?・・・」 「店内にフリーコーヒーあるけど忙しい時ダメ!」 とか、とにかくいろい決まりがあって初心者は大慌て!


いつもメニューに迷うことなくスパッと注文する松枝でも「ななななんの事?・・・」それでも「カツトルコ並!ソース多め!カツ脂身なし!」っと一発注文完了!・・・それがこれです。特に脂身は、その量から無しまで指定できるなんて苦手な私には嬉しい限り・・・


ある日には、「ミックストルコかつ&エビの並!ソース多め!カツ脂身なし!」って、注文しましたよ。全くの余談ですが、何を隠そう実は松枝隠れエビフライ好き、加古川の「ラッキー食堂さん」でもついついエビフライありを頼んでしまうんです・・・ラッキー食堂さんは→コチラ

「神戸トルコライスさん」 ご利用ガイド・・・
・メニューは予め決めておく→即オーダーして常連客ぶる!
・ランチタイムは混むので避けるとゆっくり味わえる…
・しかし、混んでいる時のスリル感も刺激があっていい。
・不定休なので行ってもシャッター閉まってる事ある。その時のショックは大きい・・・
 そんな時は元町の「丸玉食堂」で私の好物「春巻き」にがっつく!(100%火傷する)→コチラ

まとめです・・・
超満員なのに注文時に決める事多過ぎて、訳が分からなくなる難易度大のオーダーシステム・・・聞いてくるお兄さん、職人さんみたいでカッコイイけどちと強面・・・なのに店内のテーブルとかお洒落チックでカワイイらしさもあったりと・・・何がって一言で伝えにくいけど何かがおかしくて笑ってしまう・・・そんな楽しい店なんです。そして忘れちゃイケないトルコライスのお味は当然〇!、訳も分からずあっと言う間に店を出てきたら「ウマいな…また来たいな…」 そんな「神戸トルコライスさん」 次の休みに是非訪れてみては如何でしょうか・・・   2019.09.07 布引クラシックス 松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 11:24芦屋近郊地元グルメガイド

2019年09月05日

1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その7


もう小姑のような話しはしたくないからスルーするつもりでいたものの、やはり話を巻き戻す。これは88のフロントのアクスルシャフト・・・再びマツエダ怒り心頭、爆発寸前です。


皆さんの命を載せているホイールの中心にはベアリングとシャフトがある・・・この写真を見てなにか感じないか?


一番下がフロントのアクスルシャフトで真ん中が新しく取り寄せたモノ。良~くみると旋盤加工の粗い跡があって右側よりも左側が細くなっているのが分かるだろうか?・・・


この軸受けの内径は17mm、それに挿入するシャフトの外径は当然17mm以下。モノが正確に機能し自然に挿入できる為に各々その隙間が決められている。で、この場合のそれは最大100分の5mmだ。にも関わらず実物は10分の3mmもある・・・いいですか100分の3mmではありませんよ、10分の3mmですよ・・・これは実に設定の6倍もの値、競技用としての基準を100分の3mmに設定したとすると実に20倍の差があるって事ですよ・・・


この絵を見て何とも思わないかい?・・・


解説しよう・・・シャフトが錆びて体裁悪いからクロームメッキをかけた→厚みが厚すぎてシャフトが入らない→なら、旋盤でメッキを削ろう→ところがシャフト自体を削ってしまい、おまけに斜めに削ってしまった→細くなり過ぎてガタガタする→もう、やりよう無いからそのまま取り付けた・・・これがその真相だ。


そしてこれはリアのアクスルシャフト、ベアリングの内径は17mmであるもののカラーが入りシャフト径は14mm。だがフロントよりも更に隙間が大きい事が分かる・・・


このリアはもうひとつ悪い・・・フロント同様に旋盤で削り過ぎたものの、どうしようもない位に細くしてしまった→そうだ、もう一度クロームメッキかけよう!→それでも厚みがまだ足りない→もういいや、そのままつけちぁえ!・・・これがリア側の真相、これじゃもうめちゃくちゃだよ。


最も私は馬鹿じゃない。この88のオーナーのTさんとは、別にクラシックカーレースに興味もなければイギリス車にそんなにこだわっている訳じゃない。只々カッコイイ乗り物に乗りたい触れていたい只それだけの人。彼のガレージに行けば私も大好きな超有名なアメ車のマッスルカーが置いてある。そこにフェザーベットフレームの粋なレーサーを加えたいだけの人。だから、過度の整備は必要もないし安全快適に走れるようにすればイイだけの話し、そんな事は百も承知だ。


だが、残念ながらこれはそれ以前の話しだ。自動車整備士として自信を持って渡す事など絶対に出来ない危険なモノだ。・・・まぁ昔と違い今は多様性が認められる時代、何でもうけりゃイイじゃん!って時代らしい。それでもやって良い事と悪い事があるだろう?・・・更にこんな車体を買ったTさんにも責任がある。だからこそ徹底して修理するって訳だ。


さて、皆さんも分かっているかい?この下劣な整備の根本的な間違いがどこなのかを・・・それはメッキの選択なんだよ。精度を保ちたいネジ部や接合部には本来切削研磨したままにするもの。但し、どうしてもメッキを載せたい場合は薄い皮膜のメッキを選択する、それが当時の亜鉛メッキだ。それを何を血迷ったのか装飾用のクロームメッキをかけてしまう、精度が必要なアクスルシャフトのネジ部から軸から全てにぶ厚いクロームメッキをかけたところが間違いの始まりだ。


そして、今は前後共に薄い皮膜のメッキに包まれた新しい正規のシャフトが入っている。真っすぐについたフロントフォークに、水平に取り付けられたスイングアームに、それらに対して正確な角度の車軸を維持している。世のモーターサイクルの歴史を塗り替えた名品「フェザーベットフレーム」・・・古いモーターサイクルとてこの程度の精度は出ているさ。誰しも認める名品だからこそ、こうした内容の伴ったカタチじゃなきゃイケないんだよ・・・  松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 13:00作業中車両のプチ報告

2019年08月27日

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その1


コマンド850MkⅢの整備も、じんわりと進めています・・・先ずはフレームワーク、曲がりや亀裂、過去の使用に於いて不具合がないか調べます。


これはプロップスタンドのベース部分で付根です。ここが過去に破壊されスタンドが使えない状態。写っているドライバーがスタンドの正常なラインだから、相当に曲がっていると分かりますよね?


これだけ厚みのあるモノは過熱し赤めての修正が必須。だが、ぶ厚いベース部分に対してフレームのパイプは薄い。この極端に厚みの違うモノを同時に修正するには、複数の場所に対しての熱のかけ方とその加減が重要だ。更に時間をかけてグネグネとやっていたんでは鉄が疲労し元も子もなくなる 「グーーーー・・・クンクン・・・グッグッ・・・カーン!カンカンッ!・・・」っと、短い時間の中にも繊細な観察力と大胆な力でもって一発で直すんだ。


あれだけ曲がっていたものをどこも変形もさせず戻せている事が分かるかな?・・・これがここの正しい直し方だ。


更に、あれだけ曲がったモノには必ず亀裂が入るから必ず捜し出し溶接をし万全を期す・・・このようにコマンドのプロップスタンドとは長いが故に簡単に曲がってしまう。1972年以降のコマンドのオーナーであれば常に気をつける事にこのプロップスタンド事情があるんだ(1971年は論外)。つづく・・・松枝  

Posted by nunobiki_classics at 14:51作業中車両のプチ報告

2019年08月20日

京都丹後地方のソウルフード 「ひらひらミルピィ」 大好きなんです!


わたくしが最も愛する丹後地方のソウルフード、その名も 「ひらひらミルピィ!」 年甲斐もなくマツエダこの商品めちゃくちゃ愛着持ってるんです!


試運転の帰りにふと立ち寄って見つけた「ひらひらミルピィ」。見た瞬間私の頭は真っ白に!「ガツーンッ!」っと、いきなり掴んで 「グッドネーミング!」 味も知らないのに名前にやられた、思わず絶叫してしまいました・・・「ひらひらミルピィって…ん~なんて素晴らしいナマエ…」・・・ほらっ、ふたつ並べてみましたよ・・・


裏の説明みると色々書いてあります。この「ひらひらミルピィ」って実は乳酸菌飲料なんです。普段この手の乳酸菌飲料は好きで各種試しましたがやっぱりこれが一番。
味がどうとかじゃなくて名前がイイんですっ!(いやいや味もちろんマルです。)


ほかにもありますよ。左は「ヒラヤリンゴ」果汁5%なんですけど、牛乳が40%とめちゃ多い!リンゴの甘酸っぱさとミルクの濃厚さが見事なハーモニーを…他メーカーのリングの類似品とはコクの深さが違う、この中で味は一番かな?・・・で、右は「ヒラヤコーヒー」 これもミルク50%と驚きの配合!コーヒーが完全に牛乳に負けている!みたいな…


ほらほら、四つも買ってしまいましたよ。「ひらひらミルピィ」二個に「ヒラヤリンゴ」「ヒラヤコーヒー」各一個。こうして店の事務所に並べると壮観で~す!


で、これは2008年に布引ファミリー会長の松山氏とふたりで行った大山ツーリングの帰り道 「丹後ミルク工房 そら」 さんに立ち寄ったところ。暑い真夏の盛りにふたりしてジャージー牛のソフトクリームを頂きました。このお店もヒラヤミルクさんがお近くでやっているんですよ。詳しくは→コチラ ネット販売は→コチラ

如何でしたか、丹後地方のソウルフード 「ヒラヤミルクの乳製品」 お求めは心配ご無用です、この地方のコンビニにスーパーには必ず並んでいます。あの私の愛用する「スーパーにしがき」さん→コチラにもありますよ。今度のツーリングにはマツエダ一押しの「ひらひらミルピィ」を求めて丹後地方を目指してみては如何でしょうか?・・・ 2019.08.20 布引クラシックス 松枝

ヒラヤミルクさん(平林乳業)は→コチラです。
ヒラヤミルクさんのインターネット販売は→コチラです。

  

Posted by nunobiki_classics at 16:03ツーリング向けグルメガイド

2019年08月17日

1965 TRIUMPH T120R プチ報告その2


Aさんの1965ボンネヴィル、エンジンの状態を調べるべく分解致しましたよ。


前回の外装はイマイチだったとご報告致しましたが、今回のエンジンは正に南国はパラダイス!・・・とって自然体でイイ感じです。


今回のボンネヴィルのエンジン、基本的に全て調べます。プライマリーチェーンケースの裏側にあるスプロケット、良く見ると摩耗が進んでますね。


こちらはギアボックス。皆さんが踏み込むスターターレバーの裏側です。


ここも至極自然な感じで良いですね。でも、これはシーリング材塗って強引に入れてあったタッピングスクリュー。分かる人見れば笑います・・・


これはユニット650の4スピードギア・・・八つのギアが見えますね。全体的に問題なくイイ感じです。


これはタイミングサイドのカバーですが、スクリューを折ってしまってますね。残った頭が邪魔になってカバーが外れないからあきらめた・・・そんな感じです。


頭を慎重に削り取り外すと・・・こんな感じ。でも、これなんかは全然イイ壊れ方。他のメネジも数か所に修正が必要なもののほぼ良好な状態。


点火装置のルーカス社製4CAコンタクトポイントブレーカー取り外します。で、今回はコレ使いません・・・


タイミングギア一式です。オイルポンプも良好です。


で、クランクシャフトにカムシャフトも良好、お手軽倶楽部としてこのまま使用する事も可能な状態ですね、素晴らしい。


そして、松枝的に最も嬉しいのがこのルーカス社製のホーン!本体もさることながらとなりの小さなスクリュー2個!これが亜鉛メッキが残る当時のオリジナルのスクリュー・・・これ、必ず交換されていてめったにないモノ。スパナが一度もかけられずにちゃんと残ってるのって松枝超嬉しいんです。


このイグニッションコイルも新車当時のオリジナル品。Lucas のデカールが残ってますね。もちろん6V。これもしっかり機能してればめちゃくちゃ嬉しいわけです・・・
結局のところ、外装はチョッパー崩れの哀れな姿・・・しかし、エンジンは亜鉛鍍金の状態もよろしく貴重な当時のオリジナル品も残っていたりするグッドコンディション、ベース車としてはとても良好なモノでした。松枝、段々とやる気出て来ましたよ!では・・・  

Posted by nunobiki_classics at 21:54作業中車両のプチ報告

2019年08月15日

「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」 読ませて頂きました…


相変わらずの忙殺状態が続く布引クラシックス 「はぁ…気失いそう…」 こんなに仕事してちゃぁ死んじまうよと久し振りの完全休日宣言! 芦屋の自宅にて心身ともにリラックス中・・・発売から随分経った今日 「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」 読ませて頂きましたよ。


ページをめくってみると…「今までに感じた事のない新感覚⁈」 書いてありますね… 「古いのに新鮮⁉ 新しく感じる古さ⁉」 「もしかすると英車が持っている魅力とは今にない新しさじゃないのか!…」 冒頭から威勢の良い啖呵で始まっております…


次は、三大メーカーの諸々が事細かに書かれていますね。簡単に言いますけどこの限られた誌面に簡潔明瞭にまとめるってのは大変だと思う、良く出来てます。


更に、これらはS氏が直接オーナーに出向き、逐一取材をした生の記事。そこいらの本のように適当にネットで調べるだけの記事とはモノが違います。今正にイギリス車に興味を持ち始めた方、是非参考にして頂きたいと思いますよ!(松枝おススメ)


さて皆さん、ネクストステップです。この「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」を読みまして私なりの視点から皆さんに幾つかお伝えしたいと思います。「軽快な安定感⁉こそ英車神髄だ‼」ってカッケーッ! コチラは布引ファミリー兵庫支部のNさんのTR6→コチラ


先ず1960~1962年のプリユニットモデルの事を・・・「650がこれほど軽快でいいのか⁉」 で始まり、グニャグニャなフレーム剛性なのに「狙い通りのコーナーリングを完了してしまう…なにか日本車とは生まれから育ちが違うような新鮮な感覚だ!」 ここイイですね…こんなんでいいんか?っと思ったらちゃんと走っちゃうじゃないか、モーターサイクル発祥の地イングランドの底力っ!って感じですよね。そして「板」って動物的表現は的を得ていて、分かる人には笑う位に共感できる(大笑)。


そして1963~1970のユニット650の事を・・・「シングル並みの軽快感と650ツインのトルク感…こんな組み合わせのオートバイが50年以上も前にすでに存在していたとは⁉…トライアンフが今でも大人気なワケがなんだかハッキリ見えて来きた。」 はっはぁ~、現トラオーナー全てが最初に感じる事ですね…フムフム。


更にBSA A10 について・・・「実用車っぽい出立ちに反しいトライアンフに通ずる英車感覚」 「ある回転域から、クランクの回転惰性力に加速力が乗っかっていく感じ、振動が少なくなると同時に伸びやかな加速へと変わる!…」 実は松枝、地味な存在のA10の魅力を常日頃から伝えたいと思っていた。Bシリーズシングルにも通ずるあのクランクフィーリングをズバリ見抜いた事に大感激だ。


で、ここからは上級者編的記事、ウチで言うところの「布引流英国車講座上級者編」だ・・・で、ここはね本当に英国車の全くの神髄で核の部分、ここで結論的に言っちゃったんだけど、「単気筒クランクをそのまま2気筒クランク化したようにしか見えないのだ!」 これ言っちゃダメだって!これほんとうの事なんだもの。これだから英国車独特の走りがあるんだから…ダメだよ言っちゃぁ…


更に、「左右の支持しか持たない円盤クランク…そのジャイロ効果…その力を大きく利用した構造なのでは!…」 これもそうなんだもの。このねフライホイールの生む強大な慣性力は現代では完全否定されたモノだけど、今となってはこの時代のモーターサイクルにしか存在しない現行ツインエンジンとの決定的な違い、これだから英車は面白いって言う根源なんだ。


「マスの中央集中で、単気筒並みの軽快感‼」 これ、すっごくイイ事書いてある。四気筒のクランクシャフトは安定性が高く扱い易い。対して単気筒のように幅の狭いクランクシャフトは不安定で本来扱い辛い。で、先にも書いてあったシングルのような英車のクランクシャフト。ましてや重いフライホイール成分が真ん中にあって強いジャイロ効果を生んでいる…ここなんだよ!…これがその神髄、大神髄なんだよ!…書いちゃダメなんだけどなぁ…いい事書いてある。


で、皆さん。普段英車は楽しいとか言って走ってますけど、実は本当に難しいですよね?そんな時、このクランクシャフトの話を何度も読んでみよう。すると、段々と自分の走りに磨きが掛かってきますよ。「なんだか前より走りづらいなぁ…」と思ったら読んでみる 「ン?…この事かな?…」 繰り返し読んで走ると 「はっはぁ…こうすれば楽しく走れる訳なのか…」 と、なります。そして暫くするとまた自分が下手クソになって悩んだりする…するとまたこの本繰り返し読んでみる…


「英国車乗りたる者先ずは乗りづらいクランクシャフトの意味を知れ!…」なにを差し置いてもクランクシャフトが基本。私がいつも言ってますよね「布引流英国車上級者たる者クレバーになれ!」そうです、本読んで知識を頭に叩きこんで走るんです!・・・そして気が付けば本、ボロボロになっちゃった…これがこの本の正しい使い方。我々のような超アナログバイク大好き人間が絶対に読まなきゃイケない参考書。それが「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」 布引クラシックス社長マツエダがドンッ!と太鼓判を押すお薦め本ですよ!
「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」の購入は→コチラ


で、最後の方に何気なく書いてあるこのページ。「オイッちょっと待った、これ大事な事じゃないか!」慌てて目を止めました。これはね、古いモーターサイクルの古典的弱点でもあるんですね。ちと、難しからクランクシャフトの意味が少しずつ分かってきて…スロットル操作にエンジンの扱い方が楽しくなってきた後で結構です。改めてこの記事読んでみましょう。バネってモノの意味を知ると再びガツーンッと新たな感動に包まれますから・・・


で、続いては今回の取材にご協力頂いた布引ファミリーの方々に感謝を込めてご紹介します。6Tは布引ファミリー現在所在地不明のがんばれTさん!→コチラ


これもそうですね…→コチラ


この1966のトロフィーは布引ファミリー兵庫支部のKさん→コチラ


同じく1968は布引ファミリー会長のトロフィー→作業はコチラ、試運転はコチラ


このA10は布引ファミリー大阪支部のHさんの→コチラ


これは布引ファミリー東京支部のTさんのファストバック→コチラ


Tさんは顔写真まで出てますよ。「えーっ!めちゃ男前に写ってるし…」 いやいや、何時も男前ですよ…


それにひきかえなんだよ私の写真、まるで叱られた子供みたいじゃないか!…


で、これは私の愛車、控えめかと思ったらこんなに大きく…恐縮です。(お知らせ…わたくしのコマンド、店舗の移転に間に合うように、この度久し振りのモディファイ作業断行を決定致しました。なので暫く休眠致します。完成時には又報告致しますよ!)


そして取材にご協力いただいた布引ファミリーの方々へのお礼です・・・この度は大切な愛車をお貸し頂き誠にありがとうございました。やはり愛車がご自分の手元を離れるって事はとても不安であり心配になるもの。「愛車を溺愛しろっ!」っと、私は皆さんにいつも言いながら…その心情ご察し致します。これを機会に、更に皆さんの愛車に誠心誠意対処出来るよう精進したいと考えております。この度は誠にありがとうございました・・・


そして最後に、この「BRITISH TWIN 愉悦の英車神髄」を製作されました編集部のS氏とY氏。今回はS編集長とY副編集長ですね。勝手な事書いてごめんなさいね。で、このお二人にはもう感謝の一言です。以前にも言いましたがこの二人は黙ってますが本当は凄い人なんですよ。以前の話しは→コチラ。ですから私自身、今後も彼らに認められるようなモーターサイクル作りを目指して努力して参りたいと常日頃思っております。


で、今年はご一緒にキャンプツーにでも行きたいと考えていますよ。「人生は一度きり!」楽しいキャンプの夜を過ごしてみたい…マツエダそれも楽しみなんです。

この度はありがとうございました&お疲れ様でした。また次に素晴らしい無情事務所編集のモーターサイクル本、出るの楽しみにしてますよ!では・・・2019/08/15   布引クラシックス社長 松枝







  

Posted by nunobiki_classics at 23:45雑誌掲載など