2018年10月01日

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
ご無沙汰しています、布引クラシックスの松枝です。今回もどうぞよろしくお願いいたします。
前回までにプライマリー減速装置コチラ、更には4スピードギアボックスコチラ、について話をしました。未だの方は必ず読んでから進みましょう・・・

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
で、今回の話は 古典的な4スピードギアボックスを如何に上手に使いきるか!ここに向けての話になります。
では終始必要な心構えを申します・・・皆さん目を閉じてください。この中で北海道へ行ったことある方、いますか?なだらかな丘陵地帯。ラベンダー畑やジャガイモ畑、地平線を望める雄大な景色が延々と続いている・・・・そう、それは我が英国車のふるさとイギリスの景色でもあります。このおおらかで緩やかな延々と続く田舎道を走る為に設計された・・・それが我が英国車なんだと先ずは頭にドーンと叩き込みます。(注・・・この写真は木曽の御嶽山、写真ないのでイメージです・・・)

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
次に前回私が書いた階段の絵を頭に浮かべます。現行車よりも遥かに高さのある段差を一段一段大股開いてヨイショッ!ヨイショッ!っと登らなきゃならない、その様を頭に描く。加えて一段一段のギアをゆっくりと丁寧に使っていくんだぞ!これも意識します。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
では始めます・・・先ず、ローギアに入れて発進します。「コチョン・・・ズバッ・・ズバッ・・ズバッ・・・ズバッ・・ズバッ・・・」 ここで思いっきり引っ張って!と言うかと思いきや違います。ローギアはそこそこで終わり、引っ張る必要なし。実用回転域の狭い英国車のエンジンではローギアはあくまで発進専用と捉え次のギアに引き継ぐ方が結果的にスムース且つ速く走れます。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
次はセカンドギアです。「コチョン・・・ズバッ・・ズバッ・・ズバッ・・・ズバッ・・ズバッ・・・」 今度は少しだけ引っ張ります。スムースな加速を心掛けサードギアへの橋渡しとします。そのコツはスロットルの開け方・・・エンジンが常に敏感に反応する位置を探りながら、且つ幾分力強い反応を見せるように開けて行きます。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
そしていよいよサードギア、ここが皆さんの腕の見せ所です。「コチョン・・・ズバッズバッズバッズバッズバッズバッ!・・・」 今までと違いガツーンッ!と走ります。そのコツはやはりスロットルの開け方。先に言った反応の良い所を探りながらエンジンが反応すると同時に徐々にスロットルを開けて行って最後に大胆に開けるっ!「ズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッ!オリャーッ!・・・」 英国車が加速をするのはローギアでもセカンドギアでもありません、ココです。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
ローギアにセカンドギアは幾分抑え気味で・・・そしてサードギアでズドーンッ!と加速する。そう、機械とは何でも力関係、弱い方と強い方の駆け引きになります。弱い方がエンジン・・・強い方が路面側の抵抗・・・非力なモーターサイクルが変速の力を借りて突然効率的になるのがこのサードギアの位置 「コチョン・・・ズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッズバッ!・・・そりゃーっ!・・・」 パワーとギア比と抵抗が調和して突然水を得た魚のように走れるのがサードギア。今までローやセカンドでガンガン攻めて自己陶酔していた愚かな君、明日からの走りが変わるんだ・・・

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
そして、トップギアです。これは巡航走行に使いエンジンやギアボックスの負担の軽減に寄与させます。重いパーツで構成される英国車のエンジンの機械的負担を抑える事に主眼を置く。ずっと愛車を労わる上でこの心得が大切になります。・・・ローギアは発進専用・・・セカンドギアはサードギアへの橋渡し・・・サードギアこそ英国車の加速の場・・・トップギアで愛車の負担を低減する・・・これがワイドレシオ4スピードギアボックスの走り方です。
で、因みに今私は巡航走行と言いましたが皆さんの中でトップギア以外で長い時間巡航走行する人居ますか?サードギア以下で長時間走るとギアボックスを傷めますよ。巡行走行では必ずトップギアで走る、英国車の鉄則です。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
で、ここまで緩やかな勾配の道までの話をしました。しかし、島国の我が日本ではキツイ坂はつきもの。この時ばかりは、話が違ってきます。
ギア比の高過ぎるローギアは避け、セカンドギアを有効に使う・・・しかし、ギアを上げればエンジンの回転数が低くなり過ぎて失速する・・・下げれば回転数が高くなり過ぎて走れない 「ガーンガンガンガンガン・・・・ドッドゥーーーン・・・」 不快なエンジンサウンドに耐えやり過ごすしかありません・・・で、その対策とは?・・・そんな急な坂を避けるコース設定をする、それが上級者の隠し技です。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
ここで合わせて考えたい事は・・・英国車の使える回転域とは、実はめちゃくちゃ狭いんだぞ!と言う事・・・ギアの間が開いているくせにエンジンのパワーバンドが狭い・・・それじゃ上手く走れる訳が無い。その使い難い部分を微妙且つ繊細な感性をもってして何とか切り抜けていく・・・現行車では全く必要のない英国車の操り方が求められるいるのです。(英国車の象徴アマル社製キャブレターが直接起因する・・・キャブレターの話はずっと後で致します)
では、小さくまとめます・・・

・英国車とは大陸仕様、常に大胆且つおおらかに走れ!
・ローはそこそこで切り上げろ!
・セカンドギアは敏感なスロットル操作をプラスせよ!
・サードギアこそ英国車を活かす最大のフィールドだ。 
・トップギアで巡行走行する、それはトップギア限定だぞっ!
・各ギアは分業制、それぞれの役割にメリハリをつけろ!

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
では、大きくまとめます・・・
僭越ながら私は皆さんよりも走らせる事は上手です。その昔、サーキットコースで260キロもの速度で毎週々全日本選手権目指して走っていた私は皆さんよりも上手くモーターサイクルを走らせます。で、私が一般道に於いて走る時、コーナーから直線に至るまで実にスムースな走りを見せます。しかし、それは単に上手いと言う話ではありません・・・それは人より頭を使って走っているって事。で、英国車には実に四箇所もの減速箇所があります。プライマリー、ギアボックス(それぞれ)、ドライブ、この中に四か所の変速ポイントがある(繰り返します、三箇所ではありません四箇所です)。で、個々の役割を知りその意味を理解し走らせている・・・更にどうしても機械的理不尽さが障害になる場合にギア比そのものの設定をも最適化ている・・・頭を使い工具を使い身体を使い一体どうすれば愛車を快適且つスムースに走らせる事が出来るのか?・・・皆さんよりも遥かに探究しているからなのです。・・・只単に走る事だけで満足できるなら貴方は英国車中級者へ逆戻りです。「布引流英国車上級者たるもの常にクレバーであれ!」私が皆さんにいつも言っている事です。

布引流英国車講座上級者編「走る事に重きを置く英国車上級者たれ!」その4
そして、もう一つ欠かせない事が・・・ワイドギアレシオに於けるエンジン回転数。これなくして上手な走りは得られません。次回は、こうした使い勝手の悪い4スピードギアボックスのギア比に対するエンジンの回転数について、更には都会を走る人と、郊外を走る人の違いとか・・・そんな話をしようと思いますよ、では・・・
2018/09/30 布引クラシックス 松枝


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Posted by nunobiki_classics at 00:38 │英国車講座上級者編