2019年03月03日
1970 BSA A65L Lightning 愛知県Y様
1962年にデビューするA65はシングルキャブレターを持つサンダーボルト系とツインキャブレターを持つライトニング系のツーラインナップ。サンダーボルトは堅実な路線を歩み、ライトニング系は後にスピットファイアにホーネット等へと派生する。高剛性な車体にパワフルなエンジン性能は北米での高評価を維持するものの台頭するメードインジャパンに屈し1972年トライアンフブランドよりも先に消える。で、今回のライトニングは初代モデルの最終年型、ロイヤルブルーにクロームドされた2ガロンタンクが美しいナイスモデルだ。
A65の特徴は何と言ってもクランクシャフト廻りだ。容量の大きなフライホイールに幾分短めのコネクティングロッドが着く。
そのクランクシャフトを包み込むクランクケースは更に影響している。薄いペラペラのトライアンフ系とは対照的に厚くがっしりと出来ている。
裾の広いシリンダーは見るからに剛性が高く激しい動きにも微動だにしない…
プライマリ系統もしかり、軸間距離が短くスリーロウズされたプライマリーチェーンの剛性は高く正に正確にパワーを伝える陰の立役者だ。
こうしたパワーを正確に出し切るA65のエンジンを、更に有効なモノにしているのが車体だ。BSAらしいレイアウトからしっかりとエンジンの出力を路面に伝える意思が見て取れる。
「グッ・・・ズッババババァ・・・・・ン!・・・」完成したライトニングをいつものように試運転する。軽いスターターレバーから始動性は容易だ。但し、遊びを取ってはいけない、レバーを上から下までフルに使う事がコツだ。
「ズバッバッバッバッバッバッ・・・カッコン・・・ズバッバッバッ・・・」走りだせばとにかく楽しい。剛性の高いクランクケースに元気な出力がしっかりと後輪を廻す様が感じられる。速度が上がる度に、スロットルを大きく開ける度にワクワクする・・・走る事が何たるかを知る者ならではの領域だ。
剛性が高く元気なエンジン特性・・・しっかりとパワーを受け止める車体・・・中央に質量を集めたレイアウト・・・個性あふれる外装の中に実はこうした先進的な設計思想が隠されている。走る事を邪魔する不快な成分を極力排除し運転自体に集中できるクルマづくり・・・それはある意味バーミンガムスモールアーム社の中核モデルとして後世に伝えたかった最後のメッセージじゃないかと私は思うんだ・・・
そして、オーナーのYさんが引取に来てくれましたよ。エンジンをかけてもらいエンジンを温めているところです・・・彼はとても良い人、ベテランらしい振る舞いが良いですね。
トランスポーターにライトニングを積み込みました。ちゃんと傷が入らないように気遣ってくれてますね・・・製作者としてはチョー嬉しいです!
そして、愛知県まで自走で帰って行かれました・・・ 「大事にしておくれよ・・・Yさんありがとうございました。これからライトニングと共に人生楽しんでくださいよ。人生は一度きり!どうせ生きるなら楽しまなきゃ!・・・」 また、いつかどこかで会える日を楽しみにお見送り致しましたよ・・・2019/02/11 布引クラシックス 松枝
試運転コース
参考記録
一般道走行距離・・・・・203.3km
使用ガソリン・・・・・・・・・8.56L(ハイオク)
燃費・・・・・・・・・・・・・・・23.75km/L
1968 BSA A65T THUNDERBOLT 大阪市S様 納車整備報告
1961 BSA A10 RoyalTurist 納車整備報告 オーナー大阪市H様
1970 BSA A65L Lightning 納車報告
1961 BSA A10 RoyalTurist 納車整備報告 オーナー大阪市H様
1970 BSA A65L Lightning 納車報告
Posted by nunobiki_classics at 15:48
│作業完成報告 BSA