2019年05月05日
1968BSA A65T 大阪市S様 作業のプチ報告その2
チラッと報告したSさんのA65Tのエンジン。結局のところボトムまで作業する事に・・・
クランクシャフトの振れの計測並びにオイルラインのクリーンナップとか・・・
計測するとジャーナル部分の摩耗は限度内で再使用可能であるからラッピング加工の上シェルの交換を・・・
コネクティングロッドの曲がりもなく至極健康的。スモールエンドのブッシュを交換する・・・
ドライブサイドのメインベアリングのアウターレースを打ち換え・・・
シャフトには新しいローラーベアリングを圧入し・・・
対するタイミングサイドのメインベアリングはブッシュとなり、新しいモノを打ち換えた後、擦り合わせによりクリアランスを調整する。
A65のカムはスタンダードとスピットファイア系の二種類、双方ともに元々性能は出せているので変更の必要なない。仮に、競技用として上の回転に振る場合はクランクシャフトの加工とセットでなければ意味を成さないから注意が必要だ。
ケースに仮組するクランクシャフトにカムシャフト・・・「お手軽倶楽部」では異例のエンジンボトムの完全整備だ・・・
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11:31
│作業中車両のプチ報告
2019年05月03日
1959 TRIUMPH T110 東京都W様 修理作業 プチ報告その3
このT110の修理作業・・・そう、各部にデッドストックのパーツがある外装部品の修復・・・これらがこのワンテンの修理の大きな山場だ・・・
この時代の外装部品は殆どがデッドストックで手に入らない。しかし、オリジナル品にはリプロ品にはないキレがあって簡単には交換したくない。よって何が何でも修復する。
激しく追突され大きく歪んだマッドガード・・・全体を板金作業で大胆に成形した後、個々の修復作業に移る。ここは過去の修復の跡と今回の損傷で「シボリ」だけではもう直せない、なので切り取って修復する・・・
パイプを楕円に絞り、マッドガードの曲線に合わせてアールをつけ・・・
切り欠きの曲げをこうして再現する・・・
同じ板厚の鉄板を切り取る・・・
こうして同じ形に成形し、はめ込む・・・
極力内側から溶接しそこそこの形を出す。後は成形しフラットな面を出せばOKだ。
テールの後端部分は過去に数度の損傷があって傷みが激しい。使えない部分を最小限に切り取り、こうして内側に貼り付ける「アテ」を作る・・・
これも極力内面から溶接する・・・
このマッドガードの後端とは皆さんの背中に有るから何とも思っていないが、実はエンジンや車体の振動が集中し激しく振動している。こうしておけば強度も増すし幾らかの振動防止にも寄与できる。
このマッドガード上部の固定用のブラケットは、追突に寄る衝撃でちぎれてしまっている。
伸び切ってしまった部分を一旦切り取って、新しく鉄板を溶接し修復する。写真は位置合わせ中・・・
歪に変形していたマッドガードだが、アウトラインがキレイに出ているのが分かると思う・・・まぁ・・・リプロ品に交換すればボルト穴の位置の修正程度で作業は終わり簡単で作業も速い。しかし、オリジナルのマッドガードを簡単にゴミ箱に捨てるわけにはいかないんだ・・・
そうした考えは以前に作業したイギリス人も同じで幾多の修復の跡があって、観察するとその作業の状況が良く分かる。上手く直す者も居れば四苦八苦している者も居る。こうした状況は結構楽しくて、これも時代の変遷として受け入れほほ笑む事がクラシックモーターサイクルの世界だと思うんだな・・・そして、次はフロントのマッドガードにぺトロールタンクへと作業を進めよう・・・松枝
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18:07
│作業中車両のプチ報告
2019年04月05日
1959 TRIUMPH T110 東京都W様 作業のプチ報告その2です。
T110 エンジンの基本形の完成です。ボンネヴィルが登場するまでの最高峰モデル…カッチョイイです。
実は、以前にうちで入れたベルト駆動にボブニュービー製のクラッチ。
精度も高く良い品物です。クラシックレースでは最早定番、いい感じね。
タイミング調整中、うちに来る前から着いている三菱製のイグニッションって・・・
どうなんでしょうね。モノは非常にイイんだけど、やはりルーカス社製マグネトーを将来的に狙って欲しいとチラッと思ったりするのは私だけでしょうか・・・
また、キャブレターもコンセントリックなんだけど、これも将来モノブロックに戻す方向で検討頂きたいなと思ったりしますよ。で、これで基本形の完成、ちょっと遅れてますが頑張ります!松枝
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21:19
│作業中車両のプチ報告
2019年03月25日
1968BSA A65T 大阪市S様 作業のプチ報告その1
大阪のSさん、大変お待たせしました作業取り掛かっています。
少し振り返りまして、神戸税関から引き揚げた直後のサンダーボルト。当初、レッド/クロームをおススメするものの、Sさんは「黒がいいんです!」と跳ね返しました。「この年式の黒は少ないんだって、クッソー捜したるーっ!」 意地になって捜した結果、見事見つけたんです!苦労しましたトホホ・・・(泣)
車体から電装系統から外からの確認では何の改造箇所もない全くのオリジナル車「こりゃあ当たりだわ・・・」 お手軽倶楽部では予算的にエンジンボトムを再使用するのが原則。しかし、見るとクランクやならきゃならない・・・先の山口県のKさんのボンネヴィル同様辛いです・・・(大泣き)
結局、全て分解しました・・・(辛い)。クランクシャフトにコネクティングロッド・・・全体的に非常に状態は良いものの軸受けの摩耗が進んでいる・・・「なんでまたクランクだけ悪いのよ・・・」 そんなこんなで結局大仕事になる、それもこれもオーナーの為、泣きながら仕事に打ち込んでおりますよ!松枝
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20:33
│作業中車両のプチ報告
2019年02月24日
1959 TRIUMPH T110 東京都W様 作業のプチ報告その1です。
以前にチラッと報告しました東京都Wさんのワンテン。作業が遅れていますので3月よりペース上げて作業致しますよ!追突されて酷くダメージを受けたワンテンでしたが絶対に直して見せると意気込んでおります。で、過去の作業をチラッとおさらいしたいと思います・・・
フロントフォークはスタンチョン(インナーパイプ)の交換からステアリングの整備まで徹底して修復済み。
曲がったフレームにスイングアームをバーナーで炙りロウ付けして修正・・・寸法を的確に出しました・・・
曲がったリムは交換、スポークには亜鉛メッキのスチール製を選択。プリユニットモデルとしての威厳を保ちます。
その後、フレームを再ペイント。プリユニットモデルらしいブラック色で塗っていますよ。
特にダメージが激しかったのがリア廻り。「あれれ・・・やってくれたなぁ・・・」 その傷を見て肩を落としたものでした・・・しかし、このプリユニットのスイングアームモデルの深めのマッドガードは基本デッドストック・・・
リプロ品ではFRP製になり質感が変わってしまう。中古品もろくなモノがない、是が非でもオリジナル品を修復したい訳です。歪に変形した箇所を熱を掛けて出来るだけ優しく少しずつ修復、全体のラインを出しました。この後、ちぎれた箇所に鉄板を溶接し元の形に戻します。
只今こんな状態です。リアのマッドガードの板金作業の後、前後のマッドガードにぺトロールタンクをサンドブラスト処理した後、塗装へと進みます。作業進行次第ブログアップします。今後ともよろしくお願いいたします。松枝
Posted by nunobiki_classics at
20:37
│作業中車両のプチ報告