2019年10月06日
1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A 兵庫県Kさんプチ報告その3
兵庫県Kさんのコマンド850、先日試運転に行って参りました。山陰地方は餘部鉄橋から竹野海岸、久美浜へ・・・
更に、京丹後網野町を経由し丹後半島の先っちょ経が岬をぐるっと回り宮津まで、走ってまいりましたよ!彼のコマンド850は終始快調「ズドドドドドドンッ!・・・」っと、快音響かせてくれました。後日、ブログアップ致します。是非ご覧ください。松枝
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20:18
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2019年10月06日
1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その3
850マークⅢの塗装作業その2、車体の完成に向けてパーツの塗装を進めています。今回はスイングアームにバッテリートレイとか・・・
MarkⅢ専用のパーツもちらほら、ヘッドステディーにハンドルバーのキャップもあります。これで車体の塗装作業は完了。この後、ホイール関係の作業へと、スポークを張り替えベアリングの交換などを行い車体の完成を目指します、では・・・松枝
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20:04
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2019年10月06日
1959 TRIUMPH T110 東京都W様 修理作業 プチ報告その5
東京都WさんのT110、塗装作業の続きです。右からオイルタンク、ダイナモのカバーにフロントスタンド・・・
右からバッテリーケース&ツールボックスにエンジンプレートのリアカバーにリアのマッドガードのステー・・・
そして、バッテリーケースのリッドです。で、その後ぺトロールタンクに前後のマッドガードへと作業進めます。松枝
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19:48
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2019年09月27日
1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A 兵庫県Kさんプチ報告その2
スロットルとはモーターサイクルにとって最も大切な装置。楽しく走る為の操作性と命を守るべく安全性が同居する要の部品。オリジナルのスロットルはもう耐用年数を超えて危険だから交換する。ところが新品と言ってもそのままでは使えない。アンチモンのボディーにはバリが出ていて引っかかりが有るなど操作感が至極悪い場合が多い。「スーッ・・・スーッ・・・」と納得の状態に持って行く。
ホイールベアリングも交換、雨風しのげるシールドタイプとしメンテナンス性を上げる。
実は、1971年以降のコマンドのプロップスタンドとは実に困ったモノ。50センチを優に超える長さ故、使うととつけ根がひん曲がってしまう。で、直す為にはプライマリーチェーンケースを取り外さなきゃならない。
丁度クランクシャフトの下あたりにスタンドのベースがあ。今、アセチレンガスをあてて曲がりを修正したところ・・・
下から見たところで、ここに長ーいスタンドがつく・・・
これが正式な状態。これでは1970年までのアーリーモデルのスタンドの方が全くもって理にかなっている。モノが正しい方向にばかり進化するとは限らないのが英国車。で、レイターモデルのプロップスタンドを使う時にには「そっと・・・そおーっと・・・」 と言って念じる事が原則だ。
そして、インターステイト用のグラブレールも装着・・・これ新品です。
マスターシリンダーは最近オーバーホール済みであるものの納車前にフルード交換、パッドも新品です。更にエンジン、プライマリーチェーンケース、ギアボックス、フロントフォーク、全てのオイルを交換。
これ何だか分かりますか?皆さんが最も操作する回数の多いクラッチレバーのピボットボルト。良く見ると左の古い方が摩耗していますね、交換しました。(些細な事だけど大事です)
で、こうした操作する箇所は人間の感覚に直結するモノなのでより丁寧に仕事します。レバーを外して軸受け部分を清掃して給油する・・・更にクラッチ、スロットル、リアブレーキ等々各部のケーブルを入念に給油します。構造に素材に全てがシンプル故にこのひと手間が大切になるのです・・・

「ズドゥーーーン・・・ズンズンズンズン・・・」 そしてここは魚崎浜にある神戸の陸事、新規検査受けて来ました。そしてこの後、試運転残すのみとなりました。帰ってきたら改めてご報告したいと思います・・・松枝
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20:29
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2019年09月25日
1964TRIUMPHT120R BONNEVILLE 沖縄県Kさん 車両直輸入プチ報告その1
先週、沖縄県石垣市のKさんのボンネヴィルが神戸港に入港・・・そして今日、朝から通関手続き&通関検査受けて来ました。
ここは神戸税関ポートアイランド出張所、後ろに見えるのは北埠頭駅。潮風香る港町、以前の布引クラシックスはこの目と鼻の先、よくここまで試運転に来てましたね、懐かしいです・・・そんな話はどうでもいいんですが・・・
朝一の九時から初めてなんだかんだと終わったのが正午2分前。晴れて保税地区から解放され自由に搬出できる身となりました・・・(保税地区内は写真撮影禁止なので写真ありません。)
お腹が空いたので税関の職員食堂でランチ。このカツカレー最高に不味いんです!・・・でもこれだけ不味いと逆に気にならない「職員食堂ってこんなもんよ・・・」これで済んじゃうんですね。 「神戸税関ポートアイランド出張所職員食堂」 皆さんも次のデートに如何でしょうか?・・・
さて不味い食事の後、慎重に走り工場に搬入致しました。昔は木の梱包が今ではスチール製になって、簡単軽量になりましたよ。
このね、開ける時って相当ワクワクしますよ。もう何回したか分かりませんがいつも感動するんです。
そりゃあそうでしょう・・・アメリカやイギリスから海を越えて遥々とやってくる。連れて来られたこの子たちを立派にする義務がある・・・沖縄の石垣島から注文くれたKさんの心中とは・・・いろんな想いが込み上げてくる。「最高の1964年を作ってやるぞ!」 そっと誓いましたよ・・・松枝
「布引流英国車直輸入のご案内」・・・→コチラです。
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19:56
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2019年09月20日
1969 NORTON COMMANDO 750 東京都T様 車検整備プチ報告その1

二年前にフルレストア作業をおこなった1969年のファストバック。東京のTさんから嬉しい車検整備の依頼を頂き、早速ご自宅へ愛車を引き取りに伺いました・・・
前回私はその状態の悪さから、あえてステンレス製のスポークを組み込んだそのホイール・・・以前のレストア作業は→コチラ
今回、引取の時に「スポークをスチールに変えてくださいよ…」なんだか上から目線で言われましたね・・・ 早速バラシました。両側のモノがステンレス製、内側がスチール製の亜鉛メッキ。下のニップルは左側がステンレス製だ。
組み替えたホイールは二方向の振れを一旦とる・・・
おおむね1980年代以降のバイクでは、片側の高さを正確に記録し再度その通りに組み直せば車体に於けるセンター性は維持できる。
ところが英国車のような古いモーターサイクルの場合、部品の誤差やその都度の事情などで寸法が微妙に変わる。どんなに過去のデータ通りに組んでも数ミリの違いが生じ再度やり直す羽目になる。私のコマンドと彼のコマンドが同じ数値だと思ったら大間違いだ・・・
もともと英国車の場合、意外にもタイヤとマッドガードとの隙間が狭い。ステアリングのライン上に来るように・・・将来誰かが太いタイヤを入れた時のマージンは・・・後の作業者がケガをしないように・・・その他様々なシチュエーションを考慮し正しく仕上げてやる。
リアの場合、チェーンガードとの隙間はゼロに等しいから厄介だ。で、そもそもホイールと車体とのセンターは合致していない。スイングアームも含めて左右対称にはない・・・重量的な配分もそこにはある・・・
そんな中でも理想の位置へ持って行こうとするが、過去のデーターはやはり役に立たない。個々の事情に合わせて・・・自分の経験をもってして・・・この車体の将来をも鑑みて・・・何処の位置にセンターを持って行けば良いのか・・・僅か数ミリの話しなんだけど神経集中させ真剣に作業する・・・スポークの1本々にニップルのひとつ々に・・・その想いは込められている・・・
クラシックモーターサイクルの世界ではこうしたホイールバランスは余り重要視されない。しかし、車体剛性の低い英国車、特に車体の振れに弱いコマンドの場合必ず適切に取るべきだ。そしてこの時代のタイヤとて重量的に形状的に真円を出せてはいない・・・精度の低いリムに、個々違う位置、タイヤの精度も低い状況だからこそコアとなるホイールをベストに持っていく。大径のホイールだからとか…リアはとっても仕方がないとか…生意気な話しはよせと言いたい・・・
で、肝心の材質の話し、やはりコマンドにはスチール製が似合う。奥がステンレス製で手前がスチール製・・・この違いは歴然。だが本当は亜鉛メッキのそれってお世辞にもきれいだとは言えない。どんよりと鈍い輝きなんだけど、なぜピカピカ光るモノよりも断然の美しさを放つ!ここが正に古いモーターサイクルのおもしろさなんだ・・・
そして亜鉛メッキは弱い・・・やがて薄くなり錆も出る・・・だけれどもウエスを持って労わるようにそっと手入れしてやろう・・・愛車の足元が傷んで来たならやさしく撫ででやろう・・・競走馬のスネを拭ってやるようにそっとそっと触れてやろう・・・それがクラシックモーターサイクル愛ってものなんだ・・・
そして、フロントフォークのオイルを抜いた・・・
これが2年間走り続けたオイルだ。
「英車ってサイコーっすね!・・・」皆さんはブリティッシュで走る事は楽しいと言う・・・・
だが、ここは100mmものストロークを「ガッツン!ガッツン!」と伸縮させられる。ブレーキをかけられ、コーナーを曲がり、ドーンと加速されまくる・・・そんな酷い仕打ちを受けているフロントフォーク、それを守れるのはこのオイルしかないのさ・・・
リアショックアブソーバーもしかりだ。この狭い筒の中にでもオイルは酷使されている。知らないうちに温度は上がり気泡が混ざったりもする・・・それでも楽しいからとガンガンに走らされ酷く摺動させられている・・・クラシックモーターサイクルだからサスペンションは無視していいなんて話はどこにもないんだ・・・松枝
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22:21
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2019年09月16日
1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A Interstate 兵庫県Kさんプチ報告その1
兵庫県Kさんに購入頂いたインターステイト。納車に向けた整備を進めてます。今回のコンセプトは「大人に向けた英国車のあり方」・・・若かりし頃にブイブイいわせて走り回っていたものの、今回リータンして乗るのがなんと古い英国車!・・・そんな無謀な行動に応える為の仕様!・・・なんだかおもしろい事になりそうです・・・
英国車デビューとなるKさんの求めるところは絶対的な安定性・・・その中でも最も大切なモノは電装系統。で、その要がメインハーネス、人間で言うところの中枢神経、根幹から信頼性を築きます・・・
その電装系統の中でも核となる部分が充電系統。レギュレーター&レクチファイアも刷新、必要なプレート等を製作します・・・
で、余剰な電気エネルギーを熱エネルギーに変換し放熱するのがこの仕組み。なので可能な限りフレッシュな風に当たる位置に取り付ける。
たかがバッテリーとおっしゃいますが、バッテリーとは大型のモーターサイクルにとって大変重要なモノ。何度でも言うけれど、バッテリーがなければエンジンには基本的に火は飛ばない。エンジンをとめて、さぁスターターを踏み込んでもバッテリーに十分な電圧がなければ家に帰る事は出来ないんだ。・・・大切な電気の話は→コチラ
で、Kさんの場合はバッテリー液を補充したり定期的に補充電をする事は非現実的な話し。なのでメンテナンスフリーバッテリーを搭載。更に、使用頻度の下がる季節にはトリクル式充電器を接続するためのカプラーも取り付けている。
これはコマンドでは陰の重要部品。丸いモノはグロメットで、中を通るモノを振動から守る為のモノ。長い間使われているとゴムが変質し硬化する、更に振動で破れてしまう・・・
で、リアブレーキペダルの下にはブレーキスイッチがあって、その為の長い配線が通る。しかし、それは高温のエキゾーストパイプと平行するため非常に危険だ。なにが危険か?・・・当時の英国車ではヒューズが一系統しかない。万が一、この配線がエキゾーストパイプに触れるとショートする
→ヒューズが飛ぶ→エンジンを含めた全てが停止する。走行中にエンジンが止まった場合、不慣れな者なら驚き慌ててしまう・・・その原因がたった一個のグロメットだとしたら・・・皆さんが全くもって気にもかけないこうした小さなゴム製パーツこそ正しく整備しなきゃならないんだ・・・
1970年代の英国車を代表するヘッドランプと言えば、ルーカス社製のP700系。見栄えはいいけど実際には前は殆ど見えません。バルブをH4やなんかに交換しても基本見えません・・・悪い事にコマンド850は走ります。走ろうと思えばガンガンに走ります・・・しかし、それでは危険過ぎる。Kさんには夜でも前方を見えるモノにしなきゃイカン!・・・で、取り付けたのはクラシックな凸レンズでありながら60/55WのH4バルブが入りシャープにカットの入るちゃんと見えるレンズ。嬉しい事にちゃんとポジションランプも入ります・・・で、この場合、凸レンズを死守したところがミソ、いくら集光性が高いからとフラットや凹レンズだけは入れちゃダメ、コマンドが台無しになります・・・
今回は大切な電装系統についての作業でした。元々トライアンフなどに比べてコマンドは電気的に安定性の高い回路となっていますが、更に信頼性を上げる作業を施しました。これで英国車デビューとなるKさんの為の電気廻り整ったわけですね、良かったです・・・次は車体整備なんかをご報告する予定です。つづく・・・松枝
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11:44
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2019年09月10日
1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その2
「ズッドゥーーン・・・ズバババババッ!・・・」 コマンド850の走りは楽しい。ブレーキをかけコーナーに進入しアウトに駆け抜ける時の得も言われぬ爽快感・・・何を言ってもそれが「コマンド エイトフィフティー」の魅力なんだっ!
で、そんな走りを支える「名品 ロードホルダー」 だがそれは英国車の常、その殆どが分解すらされずにいる。 だが、私は絶対にスルーはしない。楽しい走りを支える大切なモノだからこそ全てを分解し洗浄し精査する必要がある。
フロントフォークには二通りの働きがあって、その一つが衝撃を和らげる「緩衝装置」。このアロイ製のボトムケースと鋼鉄製のスタンチョンが丁度「単眼鏡」のようにスライドし、それをコイルスプリングが受け止め路面からの衝撃を緩衝する働き。
もうひとつは、いわゆる「バウンド」を押さえる働き。先のコイルスプリングとは一旦跳ねるとどうしてもそれを繰り返す特性がある・・・で、このカートリッジ式のダンパー、空のままだとスカスカに動くが一旦オイルで満たされるとぬた~っと意地でも動かない構造になっている。それを利用してスプリングの反動を押さえ込むモノだ。地味だか無くてはならない大切な装置だ。
当時のスタンチョンはぶ厚く強そうに見えるが現行車と比較すると弱く曲がり易い。よって多くに曲がりがあるから必ずこうして測定し修正する。
こちらはオイルダンパーのロッドで、これも同様だ。皆さん知らないがこれに曲がりがあると、てき面サスペンションとしての性能が落ちる。アロイ製のキャップとのクリアランスや摩耗にも大きく影響するから絶対に曲がりがあってはイケない。
これはボトムにあるオイル用のドレーンプラグ。長年の使用に山が変形している。これでは後のオイル交換時に支障を来す・・・
オイルシールやブッシュの交換に加え、こうしたプラグや紙やファイバーのシール材などの些細なパーツを丁寧に交換する・・・こうして主要構成部品を精度高く修正し消耗部品を交換し全ての動きが1975年らしく復元された。コマンド850の走りの良さはこうした地味な作業の上に成り立っているんだ。
因みに、こうした時にコンパウンド等でアルミをひと磨きしてやるといい。
左が今磨いて初めて輝いた瞬間・・・で、皆さんにはこの「輝き初め」を重んじて欲しい・・・鏡面仕上げでは余りにも悲しい、せめてこの程度に抑えるべきだ。 そうだろう?…考えて欲しい1975年製造当時のショールームを…店の奥に鎮座するロードホルダーは決して過度に輝いてなんかいない…メーカーから出荷されたままのそれは鈍く灰色のアルミニウムがキラッと幾分の輝きを見せる程度だった…それが丁度「輝き初め」のこの状態と同じだ。英車好きならそうした時代の情景に思いを馳せる事が真にブリティッシュモーターサイクルを愛する事だと私は思うんだ・・・松枝
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20:54
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2019年09月05日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その7
もう小姑のような話しはしたくないからスルーするつもりでいたものの、やはり話を巻き戻す。これは88のフロントのアクスルシャフト・・・再びマツエダ怒り心頭、爆発寸前です。
皆さんの命を載せているホイールの中心にはベアリングとシャフトがある・・・この写真を見てなにか感じないか?
一番下がフロントのアクスルシャフトで真ん中が新しく取り寄せたモノ。良~くみると旋盤加工の粗い跡があって右側よりも左側が細くなっているのが分かるだろうか?・・・
この軸受けの内径は17mm、それに挿入するシャフトの外径は当然17mm以下。モノが正確に機能し自然に挿入できる為に各々その隙間が決められている。で、この場合のそれは最大100分の5mmだ。にも関わらず実物は10分の3mmもある・・・いいですか100分の3mmではありませんよ、10分の3mmですよ・・・これは実に設定の6倍もの値、競技用としての基準を100分の3mmに設定したとすると実に20倍の差があるって事ですよ・・・
この絵を見て何とも思わないかい?・・・
解説しよう・・・シャフトが錆びて体裁悪いからクロームメッキをかけた→厚みが厚すぎてシャフトが入らない→なら、旋盤でメッキを削ろう→ところがシャフト自体を削ってしまい、おまけに斜めに削ってしまった→細くなり過ぎてガタガタする→もう、やりよう無いからそのまま取り付けた・・・これがその真相だ。
そしてこれはリアのアクスルシャフト、ベアリングの内径は17mmであるもののカラーが入りシャフト径は14mm。だがフロントよりも更に隙間が大きい事が分かる・・・
このリアはもうひとつ悪い・・・フロント同様に旋盤で削り過ぎたものの、どうしようもない位に細くしてしまった→そうだ、もう一度クロームメッキかけよう!→それでも厚みがまだ足りない→もういいや、そのままつけちぁえ!・・・これがリア側の真相、これじゃもうめちゃくちゃだよ。
最も私は馬鹿じゃない。この88のオーナーのTさんとは、別にクラシックカーレースに興味もなければイギリス車にそんなにこだわっている訳じゃない。只々カッコイイ乗り物に乗りたい触れていたい只それだけの人。彼のガレージに行けば私も大好きな超有名なアメ車のマッスルカーが置いてある。そこにフェザーベットフレームの粋なレーサーを加えたいだけの人。だから、過度の整備は必要もないし安全快適に走れるようにすればイイだけの話し、そんな事は百も承知だ。
だが、残念ながらこれはそれ以前の話しだ。自動車整備士として自信を持って渡す事など絶対に出来ない危険なモノだ。・・・まぁ昔と違い今は多様性が認められる時代、何でもうけりゃイイじゃん!って時代らしい。それでもやって良い事と悪い事があるだろう?・・・更にこんな車体を買ったTさんにも責任がある。だからこそ徹底して修理するって訳だ。
さて、皆さんも分かっているかい?この下劣な整備の根本的な間違いがどこなのかを・・・それはメッキの選択なんだよ。精度を保ちたいネジ部や接合部には本来切削研磨したままにするもの。但し、どうしてもメッキを載せたい場合は薄い皮膜のメッキを選択する、それが当時の亜鉛メッキだ。それを何を血迷ったのか装飾用のクロームメッキをかけてしまう、精度が必要なアクスルシャフトのネジ部から軸から全てにぶ厚いクロームメッキをかけたところが間違いの始まりだ。
そして、今は前後共に薄い皮膜のメッキに包まれた新しい正規のシャフトが入っている。真っすぐについたフロントフォークに、水平に取り付けられたスイングアームに、それらに対して正確な角度の車軸を維持している。世のモーターサイクルの歴史を塗り替えた名品「フェザーベットフレーム」・・・古いモーターサイクルとてこの程度の精度は出ているさ。誰しも認める名品だからこそ、こうした内容の伴ったカタチじゃなきゃイケないんだよ・・・ 松枝
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13:00
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2019年08月27日
1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その1
コマンド850MkⅢの整備も、じんわりと進めています・・・先ずはフレームワーク、曲がりや亀裂、過去の使用に於いて不具合がないか調べます。
これはプロップスタンドのベース部分で付根です。ここが過去に破壊されスタンドが使えない状態。写っているドライバーがスタンドの正常なラインだから、相当に曲がっていると分かりますよね?
これだけ厚みのあるモノは過熱し赤めての修正が必須。だが、ぶ厚いベース部分に対してフレームのパイプは薄い。この極端に厚みの違うモノを同時に修正するには、複数の場所に対しての熱のかけ方とその加減が重要だ。更に時間をかけてグネグネとやっていたんでは鉄が疲労し元も子もなくなる 「グーーーー・・・クンクン・・・グッグッ・・・カーン!カンカンッ!・・・」っと、短い時間の中にも繊細な観察力と大胆な力でもって一発で直すんだ。
あれだけ曲がっていたものをどこも変形もさせず戻せている事が分かるかな?・・・これがここの正しい直し方だ。
更に、あれだけ曲がったモノには必ず亀裂が入るから必ず捜し出し溶接をし万全を期す・・・このようにコマンドのプロップスタンドとは長いが故に簡単に曲がってしまう。1972年以降のコマンドのオーナーであれば常に気をつける事にこのプロップスタンド事情があるんだ(1971年は論外)。つづく・・・松枝
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14:51
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2019年08月17日
1965 TRIUMPH T120R プチ報告その2
Aさんの1965ボンネヴィル、エンジンの状態を調べるべく分解致しましたよ。
前回の外装はイマイチだったとご報告致しましたが、今回のエンジンは正に南国はパラダイス!・・・とって自然体でイイ感じです。
今回のボンネヴィルのエンジン、基本的に全て調べます。プライマリーチェーンケースの裏側にあるスプロケット、良く見ると摩耗が進んでますね。
こちらはギアボックス。皆さんが踏み込むスターターレバーの裏側です。
ここも至極自然な感じで良いですね。でも、これはシーリング材塗って強引に入れてあったタッピングスクリュー。分かる人見れば笑います・・・
これはユニット650の4スピードギア・・・八つのギアが見えますね。全体的に問題なくイイ感じです。
これはタイミングサイドのカバーですが、スクリューを折ってしまってますね。残った頭が邪魔になってカバーが外れないからあきらめた・・・そんな感じです。
頭を慎重に削り取り外すと・・・こんな感じ。でも、これなんかは全然イイ壊れ方。他のメネジも数か所に修正が必要なもののほぼ良好な状態。
点火装置のルーカス社製4CAコンタクトポイントブレーカー取り外します。で、今回はコレ使いません・・・
タイミングギア一式です。オイルポンプも良好です。
で、クランクシャフトにカムシャフトも良好、お手軽倶楽部としてこのまま使用する事も可能な状態ですね、素晴らしい。
そして、松枝的に最も嬉しいのがこのルーカス社製のホーン!本体もさることながらとなりの小さなスクリュー2個!これが亜鉛メッキが残る当時のオリジナルのスクリュー・・・これ、必ず交換されていてめったにないモノ。スパナが一度もかけられずにちゃんと残ってるのって松枝超嬉しいんです。
このイグニッションコイルも新車当時のオリジナル品。Lucas のデカールが残ってますね。もちろん6V。これもしっかり機能してればめちゃくちゃ嬉しいわけです・・・
結局のところ、外装はチョッパー崩れの哀れな姿・・・しかし、エンジンは亜鉛鍍金の状態もよろしく貴重な当時のオリジナル品も残っていたりするグッドコンディション、ベース車としてはとても良好なモノでした。松枝、段々とやる気出て来ましたよ!では・・・
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21:54
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2019年08月13日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その6
長野県はTさんのドミ、前回はスタンド関係のご報告を致しました。そして今日、いよいよ車体の基本作業 の完了です。
1950年代、ダートな道路事情から本格的に実用化されたスイングアーム。フェザーベットフレームではピボット部を可能な限り広げ剛性を確保している。軸受けにはスチール製にブラス製と複数のブッシュを使うが、その調整は少し難しい。如何なる場合にもガタつきの無さとスムーズな動きを必ず与える。
残念ながら今回も 「仏のマツエダ怒りの心頭節」 的話になってしまいますね・・・これはリアブレーキのバックプレートとドラム。過去に軽量化の為か大胆な穴明けがされている。競技に於いて軽くする亊自体は大賛成だがそのやり方に全く技術的根拠が無い。特に右側のドラムに開けた複数の小穴と大きく開いた三つの穴は論外だ。モノを加工する場合、どこに加工すれば最も効率的か?力がどの方向に掛かるのか?そうした亊を考える事は常識中の常識。「なんでこの場所に?なんでこの形に?・・・」 皆さんだって私の言ってる意味が分かるはずだ・・・
当初、リアショックアブソーバーの取付に嫌気が差したと言ったが、それがこれだ。この作業者は大切なショックの取付ボルトを交換している。下のへクスキャップボルトがそれで、上が私が用意した正規品だ。そもそも軸受けとは上に下に横にと大きな力を受ける・・・正規の場合、通常の3/8インチ径よりもブッシュとの接触部分を太くし密着性を高めた工夫がある・・・なのにどうしてこんなものに変えてしまう?・・・
こちらはそのボトム側で、5/16インチ径で例の太めの加工の有るボルトを使う。それが8.0mm径の単なるミリネジに・・・へクスキャップボルトがカッコイイ?・・・パーカーライジング加工が強そう?・・・ないんだからしょうがないじゃん?・・・冗談も休み休み言ってくれ・・・
で、ここは元々バックプレートのと間が狭く接触寸前の位置にある。しかし、ボルトには例の加工があるのであの面を必ずブッシュ内で使いたい。なのでカラーを旋盤で引く際、それが許される範囲内で移動させる寸法とした。因みに、手前のスプロケット固定用のボルトもへクスキャップのボルトに交換されている。これにも言いたい事があるが・・・
次はフロントフォークで、フェザーベットフレームを支えた名品 「ロードホルダー」 だ。
これはフォークのボトムのケース、ここにもいろいろとやってくれている。
上側がアクスルシャフ締結用のボルト&ナット。上が換えられていたモノ、下が正規のモノ。これもリアショックアブソーバー同様の話があるにも関わらずこうだ。そして下側はフォークオイルのドレーンボルトで左が正規品で右が換えられていたミリネジのへクスキャップボルトだ。
で、この作業者は全て金鋸による手切り。しかも切った後の端面を絶対に修正しない信念の持ち主だ。
メネジを良く観察するとねじ切りの具合が良くない。ヘリサート加工をしたいがヘタするとケースが使えなくなる恐れがある。要は斜めにタップを切っているから始末が悪い。正規のドレーンボルトのフラットチップ加工はロードホルダーの美しき景色。残念だけどこの場合もうあっさりこのままだ。
ここには本来マッドガードのブラケット用に1/4インチのスタッドボルトがある。それを片方は元の1/4インチ、反対側にはミリネジが。これではマッドガード一枚外すのに工具を二種類持たなくてはイケない。競技の世界では一分一秒を争うのになんでこんなことになるのか?・・・ミリネジを1/4へとヘリサート加工し一本のレンチで作業出来るようにした。
今回のフロントフォークの作業で最もイケない部分がこれだ。内部に取り付けられるカートリッジ本体は、こうしたボルト類でボトム側から締め付けられている。
こんな感じで・・・で厚みのあるアルミ製故に幾分の長さが必要になる。距離的にも理想的にネジ山として10個分前後は最低嵌って欲しい。で、一番短いモノが今回取り付けられていたボルト。どう見ても山が三~四つ程度しか掛かっていない、何故か?・・・理由はカートリッジ側のメネジが錆び等よってボルトが入らない、よってモノ同志が締まらない、だからボルトを切ってしまおう・・・するとケースとカートリッジは見かけ上固定される・・・呆れて薄ら笑いになった私の顔が皆さんにも浮かぶだろう・・・最終的な理由はウイットウォース規格のタップやダイスが無いからだ。
とにかく古いモーターサイクルのレストア作業では、こうしたネジの痛みはつきものだ。だからと言って自分の持っている工具や部品の範囲内で処理してしまおうとする短絡的な発想には全くもって閉口する。
想像はしていたけれど、想像通りの状態。ここには書いていない事が山のようにあって「社長って相当変人だなぁ…」と思われても困るので随分と話は省略したつもり。
だがしかし、言わなくちゃいけない事もある。今、イギリス車を整備している諸君!とにかくネジの規格は守れと言いたい。「ウイットウォース規格はウイットウォース規格で!ユニファイ規格はユニファイ規格で!意図あるボルトは必ず元の状態に戻せ!・・・」 タップやダイスやボルトを用意出来ない位なら始めから英国車の修理が出来るなんて勘違いはやめろと強烈に釘を刺してやる! 松枝
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17:44
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2019年08月07日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その5
英国車に於けるプロップスタンドは飴のように曲がり壊れますよ。 このドミの場合も徹底的に破壊され二本あるはずのスタッドボルトも片側しか無くブラブラな状態「これで良く倒れんなぁ…」思います。
こうした類のモノは全周均一にアタリがあるからこそ締結できるのに、こんな状態ではイカンだろう?・・・
この場合、亀裂が起こらないように必ず火で炙り修正だ。こうした厚みのあるモノの場合決して冷間で曲げてはイケない。
乱暴に曲げられたモノだから変形も歪になっている。更にメインパイプにも幾分のダメージを負っているから正論的に曲げ直しても無駄。よって真円的な治具を作っても役に立たない。現物のパイプに沿うようにそれこそ飴細工のように変則的に修正する事が必要だ。
で、このスタッドボルトに歪みがある・・・よく観察するとこれは単に後から曲がった訳じゃない、新品の時からの歪だ。
これは鋳物であるが故に型による歪みを修正せず斜めに歪んだ面を基準にネジを切っているからだ(言葉では理解が難しいかな?)。なので、歪んだ面をフライス盤で削り正しい面を出し、これを元に改めてネジを切り直す・・・
で、このスタンドはUNF規格のネジで近年再販されたモノなので、新たにウイットウォース規格のヘリサート加工を施す(これで正しいスタッドが取付可能になる)。分かり易いようにボルトを差してみると、新たに作った基準面を元に正しく垂直が出ているのが分かる。
横から見てもこの通り、スッとボルトが平行だ・・・
ブラケットを塗装して正しいウイットウォース規格のスタッドボルトを取り付けてみた。手前のスタッドにはスプリング用の掛けがついているのが見える、これが正規。
で、良く見て欲しい。塗装はしても接触面や可動域にはネタを塗っていないところを・・・ここが教科書には載らない大切なポイントだ。先に言ったようにモノが締結される場合、その間に樹脂である塗膜は有っちゃイケないって事・・・いいかい?塗料は樹脂だと言う事。
だから・・・メインパイプの塗料もその部分だけは遠慮なく塗装を剥がす。おまけにこのフレームの塗装はクラシックモーターサイクルの天敵であるパウダーコーティングだから塗膜のなんと厚い事、憎しみを込めて剥がしてやった・・・(作業の進行上プロップスタンドはここまで、取付は後日。)
次は、前回に塗装を施したセンタースタンド。取り外されていたモノを私は復活させた。
今までグラグラなプロップスタンド一本で頑張って来たドミ。これで長い長野の冬にもシャンとしていられる。
更に、この納まり方キレイだと思わないか?レーサーのイメージが強いけれど、この美しい納まり方は実はフェザーベットフレームの陰の美学なんだ。
で、今回はスタンドの話を長々としたけれど、皆さん興味の無い事は分かる。しかし、スタンドに不具合が起こった場合、ピーピー言うのは君達だ。それから考えてもやはりスタンドとはストリートユーザーには大切なモノ。エンジンを掛けるとき、整備する時、そして保管する時にも無いよりも絶対に有る方が良いし常に正しく機能しなけりゃ困るんだ。ルックス的な事ばかり考えるのも良いが、本当はこうした縁の下の力持ち的な部品に守られているんだと再認識するべき・・・どうだい?明日から愛車のスタンドをそっと掛けてみては如何だろうか?・・・松枝
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│作業中車両のプチ報告
2019年07月28日
梅雨明けですね、塗装作業再開致しましたよ…
1966TRIUMPH T120R Kさん、1959TRIUMPH T110 Wさん、1958NORTON Domi Tさん、今回は合同報告会塗装編でございます。

湿度の高い梅雨の時期…出来映えに影響するこの季節は塗装作業をしたくない。やりようはあるものの本当のところです。そして、近畿地方の梅雨明けと同時にペイント作業再開しましたよ。(この辺り1966T120R山口県はKさんのボンネヴィルです。)

下地作業…穴埋めや亀裂の溶接修理に板金作業にネジの再生とかやりまして、サンドブラストかけたりパテにグレージングパテにペーパー水研ぎを一生懸命に致します。地味な作業が延々と続くトンネルのような作業です・・・で、やっとマスキングして準備整いました。

で、当時を偲ぶクラシックモーターサイクルは現代塗装の概念とは違っています。先ず、部品にプラサフなどの下塗りは致しません!分かりますね?いきなり黒を塗るだけが本当です。しかも上塗りもしないのが本当です!・・・(えっ?…って聞こえますが本当です。)

下塗りを行うのは、ぺトロールタンク、オイルタンク、サイドパネル、マッドガード この四点だけです(フレームはまちまち)。写真は薄めにブラックを塗り、塗膜で凹凸を埋めないように気遣いながら塗ったところです。

下塗りもしない、上塗りもしない、塗料も悪い・・・なので当時のショールームでは新車なのにポロポロと塗装が剥げてたりした訳です。しかし、そうは言っても今の時代にガソリンがついただけで変質したり簡単に剥がれるのは忍びない・・・適切にアレンジします・・・必要と判断した所にはこっそりと下塗りのプラサフを…上塗りも状況に応じた質感にしてサラリと塗る・・・ポイントは塗膜の総厚みを可能な限り抑えて金属の質感を損なわないように塗る事。なので、上塗りも下塗りも塗ってないような感じだけど実はちゃんと考えて塗られてる…みたいな。

けれど、一般的な塗装屋は出来るだけ艶を出してやろう!厚みをつけてやろう!そう張り切ります。しかしこれがクラシックモーターサイクルに大敵。先に言ったぺトロールタンク等の外装部品以外に厚みをつけちゃイケない!過度な艶でテカテカにしてはイケない!なもんで巷で大流行の「パウダーコーティング」お願いだから英国車には使わないで欲しい!私の切なる願いです。
布引クラシックス塗装作業のご案内はコチラ
ところで超お手軽倶楽部のKさんのボンネヴィル、予算無いのにこんな手の込んだ塗装しちゃダメなんだよなぁ本当は・・・

これは東京都Wさん、ワンテンのリフティングハンドルとプロップスタンドですね。激しく追突され無残な姿になってしまったけれど段々と美貌と取り戻しつつある。塗装の残りはぺトロールタンク、前後のマッドガード、オイルタンクにツールボックス等ですね。

これは長野県Tさんのドミのセンタースタンドです。思いのほか状態が悪かったドミも着々と進行中・・・因みに右のブレーキレバーはわたくし松枝のコマンド用でレバー比を変更してみましたよ。では、塗装作業進行しましたらご又報告致します。松枝
湿度の高い梅雨の時期…出来映えに影響するこの季節は塗装作業をしたくない。やりようはあるものの本当のところです。そして、近畿地方の梅雨明けと同時にペイント作業再開しましたよ。(この辺り1966T120R山口県はKさんのボンネヴィルです。)
下地作業…穴埋めや亀裂の溶接修理に板金作業にネジの再生とかやりまして、サンドブラストかけたりパテにグレージングパテにペーパー水研ぎを一生懸命に致します。地味な作業が延々と続くトンネルのような作業です・・・で、やっとマスキングして準備整いました。
で、当時を偲ぶクラシックモーターサイクルは現代塗装の概念とは違っています。先ず、部品にプラサフなどの下塗りは致しません!分かりますね?いきなり黒を塗るだけが本当です。しかも上塗りもしないのが本当です!・・・(えっ?…って聞こえますが本当です。)
下塗りを行うのは、ぺトロールタンク、オイルタンク、サイドパネル、マッドガード この四点だけです(フレームはまちまち)。写真は薄めにブラックを塗り、塗膜で凹凸を埋めないように気遣いながら塗ったところです。
下塗りもしない、上塗りもしない、塗料も悪い・・・なので当時のショールームでは新車なのにポロポロと塗装が剥げてたりした訳です。しかし、そうは言っても今の時代にガソリンがついただけで変質したり簡単に剥がれるのは忍びない・・・適切にアレンジします・・・必要と判断した所にはこっそりと下塗りのプラサフを…上塗りも状況に応じた質感にしてサラリと塗る・・・ポイントは塗膜の総厚みを可能な限り抑えて金属の質感を損なわないように塗る事。なので、上塗りも下塗りも塗ってないような感じだけど実はちゃんと考えて塗られてる…みたいな。
けれど、一般的な塗装屋は出来るだけ艶を出してやろう!厚みをつけてやろう!そう張り切ります。しかしこれがクラシックモーターサイクルに大敵。先に言ったぺトロールタンク等の外装部品以外に厚みをつけちゃイケない!過度な艶でテカテカにしてはイケない!なもんで巷で大流行の「パウダーコーティング」お願いだから英国車には使わないで欲しい!私の切なる願いです。
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ところで超お手軽倶楽部のKさんのボンネヴィル、予算無いのにこんな手の込んだ塗装しちゃダメなんだよなぁ本当は・・・
これは東京都Wさん、ワンテンのリフティングハンドルとプロップスタンドですね。激しく追突され無残な姿になってしまったけれど段々と美貌と取り戻しつつある。塗装の残りはぺトロールタンク、前後のマッドガード、オイルタンクにツールボックス等ですね。
これは長野県Tさんのドミのセンタースタンドです。思いのほか状態が悪かったドミも着々と進行中・・・因みに右のブレーキレバーはわたくし松枝のコマンド用でレバー比を変更してみましたよ。では、塗装作業進行しましたらご又報告致します。松枝
Posted by nunobiki_classics at
19:03
│作業中車両のプチ報告
2019年07月20日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その3
布引クラシックスとは悪徳商会ではござ~ません。出来るだけTさんにリーズナブルな価格にて修理を完工したい、本当のところです。但し、このドミ、やってもやっても不具合箇所が連鎖反応的に出て来て、結局こんな姿になってしまいましたよ・・・
モーターサイクルの要であるステアリング。動きが固いのと動き方が不自然だし、ハンドルが右だけ大きく切れてタンクに当たってるし・・・バラしたくないけどバラしました。
(※お願い・・・今回も各部オイル汚れでドロドロのダラダラ・・・写真は全て洗浄後のモノですから念の為・・・)
ドミは元々ボール式であるものの、以前に交換されている。これはアンギュラーボールベアリングと言って一定方向からの力に対応し易い。これは非常に良い選択なんだけど、動きがゴキゴキ・・・どんなに良いものでもメンテナンスはしなきゃならない。
御覧のように力に対して方向性があるので取り付けには注意して欲しい。間違っても反対に着けてはイケない。
こうして十分に給油して取り付ける。すると今まで「ゴー・・・ゴー・・・」だったものが「スッコン・・・スッコン・・・」と、なってくれました。この素早い動きが路面への追従性へとつながる・・・古くても新しくても全てのモーターサイクル共通の話なんです。
これはステアリングストッパーで、転倒等によって激しく曲がると同時に一方のストッパー部分が欠損する程になっている。これが右と左の舵角が違う原因だ。
厚い鉄板を曲げ直しストッパー部分を溶接で肉盛りし脱着を繰り返して位置を調整する。左右が均等に、更に他のモノに干渉しないように・・・些細な事かも知れないが、止るモノがしっかりと止るって事は大切なんだ。
ステアリングを取り外すって事はフロントフォークも取り外す訳で・・・そこはさらりとシールとゲイター交換で済まそうと思いきや・・・
・・・英国車の常、オイルが入ってない。恐らく10年単位で見てない感じ。ボトムにあるダンパーのボディーもすっかり錆びだらけ・・・こんなに底部まで錆びるなんて・・・
で、この大切なダンパーロッドの丁度大切な場所に大きく酸化腐食が・・・これはですね、重要な機能である伸び側のダンパー効果ゼロを表していますよ。シール交換だけでサラリと済ませるはずだったのに・・・
で、見てみぬ振りしてたリアショックアブソーバー・・・絶対何もしないと決めていたものの「いい加減しろよ!こんなんで走れるかよ!・・・」 男マツエダ怒り爆発です・・・、こんな大切な場所がこれでイイんか?・・・もうこのドミ、説明するの疲れました。見て分かる人だけ理解してください。つづく・・・ 松枝
Posted by nunobiki_classics at
21:46
│作業中車両のプチ報告
2019年07月15日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その2
Tさんからゴーサインを頂き始めたドミの修復作業・・・これがですね、めちゃ危ないんですこの車体。競技に出たかどうかは知りませんが、レース用としての自己流加工を随所にしてくれているんです。で、わたくし競技の世界ってのはちゃんとツボを押さえているつもりです。レースの世界が如何に厳しいモノなのか知ってます。しかし今回のこの仕事ぶり・・・こんなんじゃかえってアブネーヨ!公道には公道の、サーキットにはサーキットのやり方ってものがあるだろうが・・・
皆さん、写真ではキレイに見えますけどね、とにかく汚い!ヒドイ!ドロドロでダラダラ・・・こんなレーサーってありますか?ノートン系エンジンでこんなにオイル漏れるモノありますか?・・・競技車両ってのはどこもかしこもピカピカのツルツルで一点の故障も見逃さない!・・・これが常識中の常識じゃないか。
アーシングかなんか知りませんがこんな事ばかりに気を遣って燃料ホースにスタンダードよりも小径のモノ使うって有り得ますか?
このリアブレーキのロッドはホンダかなんかの流用でそれは良しとしても斜めにグイグイっと引っ張って取り付けて、スイングアームにキコキコ干渉しても平気って、なんで?
フットレストはあさって向いて、スターターレバーはユルユルに緩み軸は大きく歪んでて、シフトリンケージはそこいらに干渉してる・・・電装に、ブレーキに、車体に言い出したらキリがないくらいに不具合箇所があって問題山積!
普段は愚痴などこぼさないわたくし仏の松枝も、今回ばかりは怒り心頭!レース気取りのテメーらを叩き切ってやる!・・・
・・・と言う事で、安全走行の基本はホイールから。ノートン系のホイールベアリングは片側単列式でもう一方が複列式が基本。
で、スタンダードでは開放型となりますが、今回は全個数シールド付きに交換します。青いものは複列式のシールドタイプですね。
これはフロントのハブの中に有るアクスルシャフトのスペーサー&ガイド。その三角のガイドが外れている。
競技では無くても良いとは言うものの、公道上ではあるべきだ。もう一度修正して圧入して元の戻してやりますよ。
バッリバリにヒビの入った古いタイヤも交換。当初、立て溝系のクラシカルなモノを勧めたら「エイボンのアレにしてください!・・・」 このAM26はTさんからのリクエスト。
フロントもこうしておニューになりました。タイヤってのはゴムなんでとにもかくにも鮮度が命。ゴムは新しくなきゃイケないんです。
このバランスドリムは英国製が王道であるものの競技に使う場合は精度の高い日本製を使うのが日本人。しかし、国産の場合、適当に組まれている場合のなんと多い事・・・「おいっ、このホイール組んだ奴、ふざけるなよ!リムとハブの穴の方向がこれだけ合ってないのに無理やりスポーク通しやがって・・・おまけにキンキンキン・・・って張り過ぎだよ!・・・」
まぁこんなレベルは素人にしかできませんよ・・・出来ないんなら業者に頼めっつーの・・・(写真では分かり難いけど酷いんです。)
で、このフットレストの向きってなんだ???・・・こんなので運転できるんか?・・・分からんわ・・・
フレーム側のブラケット修正して、ホールディングタイプのバーを溶接で肉盛りして向きの調整する・・・
こうしてもとに戻して、幾分の角度を残してやるのがミソ。荷重がかかったりヘタリでフラットの方向になるので、ここでフラットにせず後の調整で辻褄合わせる・・・
ドロドロのリアブレーキのリンケージ一式と取り外してやり直す。誰かが一生懸命作ったとは思うけど・・・
これはホンダかなんかのミリサイズのロッド・・・誰かがやって傷の残るロッドをちゃんと必要な箇所に必要なだけの曲がりを作り直す・・・
斜めに通されスイングアームに干渉していたブレーキロッドもこうして力のかかる向きに相対させどこにも干渉しないように位置させる・・・そんな当たり前の事を怠るとレースの世界では命取りになる・・・それ位みんなサーキットでは神経尖らせてやっているのに一体なんなんだよこのレベル・・・もう怒りが収まらんわ!・・・
って事で今回は「仏のマツエダ怒りの心頭節」を聞いて頂きました。このように走る事も危険なドミが公道仕様として一体どのように変身するのか?皆さんにも是非見守って頂きたいと思います、つづく・・・ 松枝
Posted by nunobiki_classics at
21:07
│作業中車両のプチ報告
2019年07月07日
1958 NORTON DOMINATOR 長野県Tさん 作業のプチ報告その1
遠くは長野県から修理の依頼を頂いたTさんのドミネーター、作業に着手致しましたよ。御覧のようにドミレーサースタイルにカスタマイズされた風体はやっぱりカッコイイ・・・
今は少なくなったものの、その昔はこのドミ系レーサーも沢山やりました。私もマシンは違いますがサーキットガンガン走ってましたよ(そう見えないでしょ・・・)。
エンジンを分解していくと過去にいろいろとスペシャルな加工がされている、フムフム・・・
但し、外部の作業のレベルが低く良い状態とは言えないなぁ・・・まともに走らせるには正確な作業をしなきゃ危険過ぎるし・・・
その他いろいろと調べ上げ、パーツをピックアップしオーダーする・・・Tさんが颯爽と走らせるイメージを頭に描き作業は進むのでした・・・つづく
Posted by nunobiki_classics at
20:52
│作業中車両のプチ報告
2019年06月29日
1965 TRIUMPH T120R プチ報告その1
1965 TRIUMPH T120R BONNEVILLE 布引お手軽倶楽部最上クラスHさん

Aさんからオーダー頂いた1965年のボンネヴィル、納車に向けた整備を始めましたよ。

先ずは外装を取り外し、状況判断を始めようと・・・遥か遠くアメリカはオレゴン州からやって来たボンネヴィル・・・なんだかオレゴン州ってだけで愛着湧いてます(笑)

その他諸々、段々と骨組みが見えて来る、今回は「お手軽倶楽部最上クラス」故に極力やる事を抑えたい「ん・・・フムフム・・・」

しかし、前後のマッドガードは汎用品が着いていたぞ・・・取り外したタンクやシートやホイールもイマイチか?

オイルタンクにサイドパネルにいろいろ・・・「あれ?・・・なんでもかんでもガンメタリックに塗られている・・・」

皆さん、ご覧ください。これが1965年製のルーカス社製メインハーネス、正真正銘の1965年製・・・

取り外すとこんな感じ。製造当時の風情が漂いいいんだけともう使えない・・・って事は全てやり替えるって事?

以前この車体は良品だと言いましたがウソでした訂正します・・・全てガンメタリックに塗られた外装・・・状態の悪いフレームの塗装・・・機関の整備に加えてペイント作業も加わる事に。そして電装系統は全てと・・・そう、結構やりがいありそうです、本気でやらなきゃならなくなりました、あれ~頑張りますよ!松枝
Hさんのプチ報告その2はコチラ
Aさんからオーダー頂いた1965年のボンネヴィル、納車に向けた整備を始めましたよ。
先ずは外装を取り外し、状況判断を始めようと・・・遥か遠くアメリカはオレゴン州からやって来たボンネヴィル・・・なんだかオレゴン州ってだけで愛着湧いてます(笑)
その他諸々、段々と骨組みが見えて来る、今回は「お手軽倶楽部最上クラス」故に極力やる事を抑えたい「ん・・・フムフム・・・」
しかし、前後のマッドガードは汎用品が着いていたぞ・・・取り外したタンクやシートやホイールもイマイチか?
オイルタンクにサイドパネルにいろいろ・・・「あれ?・・・なんでもかんでもガンメタリックに塗られている・・・」
皆さん、ご覧ください。これが1965年製のルーカス社製メインハーネス、正真正銘の1965年製・・・
取り外すとこんな感じ。製造当時の風情が漂いいいんだけともう使えない・・・って事は全てやり替えるって事?
以前この車体は良品だと言いましたがウソでした訂正します・・・全てガンメタリックに塗られた外装・・・状態の悪いフレームの塗装・・・機関の整備に加えてペイント作業も加わる事に。そして電装系統は全てと・・・そう、結構やりがいありそうです、本気でやらなきゃならなくなりました、あれ~頑張りますよ!松枝
Hさんのプチ報告その2はコチラ
Posted by nunobiki_classics at
21:18
│作業中車両のプチ報告
2019年06月20日
1968 BSA A65T 大阪市S様 作業のプチ報告その4
ちょっと巻き戻します・・・この車体は過去にプロップスタンドのつけ根部分を破損したかなんかで、取り外した上に溶接している・・・
しかし、それが適当な作業でスタンドがあさっての方向を向いて使えない。なので改めて切り取りやり直す・・・
緩衝の具合を確かめつつ位置決めし正しく溶接する・・・
これは発電用のステーターコイル、お手軽倶楽部なら再使用が基本。しかし、交換の必要がある・・・で、新品のRМ21を取り付ける事に・・・
これは点火装置のコンタクトポイントブレーカーでLucas社製の 6CA 。左右のタイミングとポイントのギャップを分離して調整できるようになる4CAの発展型。
しかし、過去の作業によってスクリューやアジャスターの頭の痛みが酷い。布引クオリティーとしては如何なる場合も的確な調整が出来るように改善する・・・
左が元のモノ、右が新しいモノ・・・
正しい点火装置の調整にはパーツの状態を先ずは整える、如何なる場合にもこれが基本・・・
で、ここで皆さんに実践して欲しい事は、ボルトやスクリューの扱い方に意味を持って欲しい。径の太いモノと細いモノ、ピッチの粗いモノと細かなモノ・・・それぞれに理由があるから、馬鹿力で何でも絞める事は無知の証。このような小さなモノなら指先の力で十二分に締結できるんだ。なので、これからは径やピッチや強度など得られる情報の範囲内でいいから是非頭を使った整備をやってみて欲しい・・・
エンジンを始動し・・・一通りの調整を行い・・・そしてエンジンと止めてサンダーボルトを休ませているところ・・・この時間ってのは自動車整備士にとって大切、何台作り上げても感動の瞬間でグッと込み上げて来るモノがあるのです・・・
さて、この後は新規検査と登録を済ませ試運転へと出かけたいと思います。完成しましたら是非ブログ読んで下さいね。松枝
Posted by nunobiki_classics at
21:08
│作業中車両のプチ報告
2019年05月14日
1968BSA A65T 大阪市S様 作業のプチ報告その3
前回、エンジンのボトムの完成まで進んだKさんのサンダーボルト。今回は車体にエンジンを搭載して更に整備が進みましたよ・・・
完全に整備されたプライマリーチェーン系統。けれどA50/65系のクラッチはトライアンフとの共通部品も多いが故に非常に弱いって事も言っておかなくちゃイケないね。
キャブレターはアマル社製928/4・・・これは1968年に装着されたオリジナルである証。ちょっとした宝物なんだな…
A65のエンジンのデザイン性及び整備性は高く、ボルト類の露出を極力避けたデザインはMVアグスタ的であり、ちょっと誇らしい…
ステアリング、スイングアーム、フレーム本体の修復作業も終わりそれぞれを組み立ててますよ。簡単に聞こえますが大変なんですよ・・・
特に動きの不可解だったステアリングの整備は、今回最もやって良かったと思う場所。オーナーの爽快感に直結する大切な場所なんだ。
この年代のフォークには二種類ありこれはサンダーボルト側のモノ。御覧のようにダンパーがカートリッジ式であることが分かる。
これはボトム側のブッシュでツバが輪っか状に割れているのが分かるかな?これはBSA系のこのフォークの設計的な特性。只単にナットの締め過ぎにより破損を助長している場合もあるので注意が必要だ。
この後、電装系統、コントロール関係、エンジン少し・・・と、いよいよ佳境を迎えました。作業が進展した時点で報告致しますよ、では・・・松枝
Posted by nunobiki_classics at
17:56
│作業中車両のプチ報告