2020年01月11日
1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その12
シリンダーヘッドの整備は大切だ。如何なる口実を述べようともここを極めなければモノは造れない・・・
「・・・タカヤ、旦那は数日愛犬と狩りに出かけたわ・・・あなたは元気?・・・」まだ、国際郵便やFAXの時代からつき合いをしてもらい、注文の度に優しい言葉をかけてくれた「Mick Hemmings」。残念だけれど近年彼らはリタイヤした・・・無口で英国人らしいミックと奥さんのアンジェラの気さくさは今も私の良き思い出、このヘッドはその彼が手掛けたモノのようだ・・・ ミックヘミングスは→コチラ
そんなミックの仕事だからといっても使い方を間違えてはイケない・・・
・・・エンジンの高性能化を阻害するモノのひとつがバルブガイドだ。出来るだけ短く、ポートに露出した部分をカットするなどすれば吸排気の効率は上がる・・・
更に、材質をブラス製にすれば熱の伝導率は高くなる。また、シート径及びポート径を拡大すれば多量の混合気を吸い込める・・・
だが、レース用の様々を一般道にて使用すると、途端に欠点が露呈する。・・・硬度の低いブラス材はこうして押しに弱く変形摩耗し密着度を早く下げてしまう・・・
長期に渡り使用すれば、このように亀裂が起こる場合もある・・・同じ容積でブラスにすれば強度は下がる。
そして、シートのカットは当然の事鋳鉄製よりも慎重に削る必要がある。
続いてすり合わせを行った・・・
シートとの当たり幅は、インレット側よりもエキゾースト側に幅を与える。狭すぎると漏れが早く訪れ、広過ぎると面圧は低下する・・・
そして、水よりも遥かに分子の小さいガソリンを使い漏れの確認を行う・・・
また、その量を測っておくと良い。いじられたエンジンのコンプレッションを正確に把握する事は基本中の基本だ。
ある程度の時間をおいてポート側から漏れを確認する。少しの量でも漏れがある場合はもう一度作業をやり直す。
四か所すべてに漏れの無い事を確認。シリンダーヘッドの中で最も時間を割く絶対にやり遂げなければならない肝の作業だ。
バルブスプリングとは、固有振動数の違うモノをインナーとアウターとで組み合わせ共振を防ぐようになっている。更に、噛み込みを防ぐ為に巻きが逆になっている。で、この取り外したスプリングとは、驚いた事にアウターの内径よりもインナーの外径が大きい・・・?押してみると接触による抵抗で普通よりも大きな力が必要だ・・・ミックの後の作業者による事は明白だが、指ですっと入らないからと叩きこんでしまうその神経に、ほとほと参ってしまう・・・
Posted by nunobiki_classics at
21:35
│作業中車両のプチ報告