2019年09月10日

1975 NORTON COMMANDO 850 Mk3 Roadster プチ報告その2


「ズッドゥーーン・・・ズバババババッ!・・・」 コマンド850の走りは楽しい。ブレーキをかけコーナーに進入しアウトに駆け抜ける時の得も言われぬ爽快感・・・何を言ってもそれが「コマンド エイトフィフティー」の魅力なんだっ!


で、そんな走りを支える「名品 ロードホルダー」 だがそれは英国車の常、その殆どが分解すらされずにいる。 だが、私は絶対にスルーはしない。楽しい走りを支える大切なモノだからこそ全てを分解し洗浄し精査する必要がある。


フロントフォークには二通りの働きがあって、その一つが衝撃を和らげる「緩衝装置」。このアロイ製のボトムケースと鋼鉄製のスタンチョンが丁度「単眼鏡」のようにスライドし、それをコイルスプリングが受け止め路面からの衝撃を緩衝する働き。


もうひとつは、いわゆる「バウンド」を押さえる働き。先のコイルスプリングとは一旦跳ねるとどうしてもそれを繰り返す特性がある・・・で、このカートリッジ式のダンパー、空のままだとスカスカに動くが一旦オイルで満たされるとぬた~っと意地でも動かない構造になっている。それを利用してスプリングの反動を押さえ込むモノだ。地味だか無くてはならない大切な装置だ。


当時のスタンチョンはぶ厚く強そうに見えるが現行車と比較すると弱く曲がり易い。よって多くに曲がりがあるから必ずこうして測定し修正する。


こちらはオイルダンパーのロッドで、これも同様だ。皆さん知らないがこれに曲がりがあると、てき面サスペンションとしての性能が落ちる。アロイ製のキャップとのクリアランスや摩耗にも大きく影響するから絶対に曲がりがあってはイケない。


これはボトムにあるオイル用のドレーンプラグ。長年の使用に山が変形している。これでは後のオイル交換時に支障を来す・・・


オイルシールやブッシュの交換に加え、こうしたプラグや紙やファイバーのシール材などの些細なパーツを丁寧に交換する・・・こうして主要構成部品を精度高く修正し消耗部品を交換し全ての動きが1975年らしく復元された。コマンド850の走りの良さはこうした地味な作業の上に成り立っているんだ。


因みに、こうした時にコンパウンド等でアルミをひと磨きしてやるといい。


左が今磨いて初めて輝いた瞬間・・・で、皆さんにはこの「輝き初め」を重んじて欲しい・・・鏡面仕上げでは余りにも悲しい、せめてこの程度に抑えるべきだ。 そうだろう?…考えて欲しい1975年製造当時のショールームを…店の奥に鎮座するロードホルダーは決して過度に輝いてなんかいない…メーカーから出荷されたままのそれは鈍く灰色のアルミニウムがキラッと幾分の輝きを見せる程度だった…それが丁度「輝き初め」のこの状態と同じだ。英車好きならそうした時代の情景に思いを馳せる事が真にブリティッシュモーターサイクルを愛する事だと私は思うんだ・・・松枝






  

Posted by nunobiki_classics at 20:54作業中車両のプチ報告