2019年09月16日

1973 NORTON COMMANDO 850 Mk1A Interstate 兵庫県Kさんプチ報告その1


兵庫県Kさんに購入頂いたインターステイト。納車に向けた整備を進めてます。今回のコンセプトは「大人に向けた英国車のあり方」・・・若かりし頃にブイブイいわせて走り回っていたものの、今回リータンして乗るのがなんと古い英国車!・・・そんな無謀な行動に応える為の仕様!・・・なんだかおもしろい事になりそうです・・・


英国車デビューとなるKさんの求めるところは絶対的な安定性・・・その中でも最も大切なモノは電装系統。で、その要がメインハーネス、人間で言うところの中枢神経、根幹から信頼性を築きます・・・


その電装系統の中でも核となる部分が充電系統。レギュレーター&レクチファイアも刷新、必要なプレート等を製作します・・・


で、余剰な電気エネルギーを熱エネルギーに変換し放熱するのがこの仕組み。なので可能な限りフレッシュな風に当たる位置に取り付ける。


たかがバッテリーとおっしゃいますが、バッテリーとは大型のモーターサイクルにとって大変重要なモノ。何度でも言うけれど、バッテリーがなければエンジンには基本的に火は飛ばない。エンジンをとめて、さぁスターターを踏み込んでもバッテリーに十分な電圧がなければ家に帰る事は出来ないんだ。・・・大切な電気の話は→コチラ


で、Kさんの場合はバッテリー液を補充したり定期的に補充電をする事は非現実的な話し。なのでメンテナンスフリーバッテリーを搭載。更に、使用頻度の下がる季節にはトリクル式充電器を接続するためのカプラーも取り付けている。


これはコマンドでは陰の重要部品。丸いモノはグロメットで、中を通るモノを振動から守る為のモノ。長い間使われているとゴムが変質し硬化する、更に振動で破れてしまう・・・


で、リアブレーキペダルの下にはブレーキスイッチがあって、その為の長い配線が通る。しかし、それは高温のエキゾーストパイプと平行するため非常に危険だ。なにが危険か?・・・当時の英国車ではヒューズが一系統しかない。万が一、この配線がエキゾーストパイプに触れるとショートする
→ヒューズが飛ぶ→エンジンを含めた全てが停止する。走行中にエンジンが止まった場合、不慣れな者なら驚き慌ててしまう・・・その原因がたった一個のグロメットだとしたら・・・皆さんが全くもって気にもかけないこうした小さなゴム製パーツこそ正しく整備しなきゃならないんだ・・・


1970年代の英国車を代表するヘッドランプと言えば、ルーカス社製のP700系。見栄えはいいけど実際には前は殆ど見えません。バルブをH4やなんかに交換しても基本見えません・・・悪い事にコマンド850は走ります。走ろうと思えばガンガンに走ります・・・しかし、それでは危険過ぎる。Kさんには夜でも前方を見えるモノにしなきゃイカン!・・・で、取り付けたのはクラシックな凸レンズでありながら60/55WのH4バルブが入りシャープにカットの入るちゃんと見えるレンズ。嬉しい事にちゃんとポジションランプも入ります・・・で、この場合、凸レンズを死守したところがミソ、いくら集光性が高いからとフラットや凹レンズだけは入れちゃダメ、コマンドが台無しになります・・・


今回は大切な電装系統についての作業でした。元々トライアンフなどに比べてコマンドは電気的に安定性の高い回路となっていますが、更に信頼性を上げる作業を施しました。これで英国車デビューとなるKさんの為の電気廻り整ったわけですね、良かったです・・・次は車体整備なんかをご報告する予定です。つづく・・・松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 11:44作業中車両のプチ報告