2019年11月29日

1958NORTON DOMINATOR 長野県Tさんプチ報告その8


長野のTさんの88、エンジンバラしましたよ…


車体は酷いモノだったのでエンジンは良い状態である事を願いつつ分解すると…仕事の内容は二分してますね。恐らく外注した仕事は立派に出来ている。しかし、組み方は最低・・・こんな感じ。只、レース用のセオリーとしては間違ってない。クランクはフライホイールの軽量化とバランス取り…


コネクティングロッドはアメリカ製のなんちゃらって言うメーカーのスチールの鍛造品でH型…これは私も使ってますがこれ大正解…


ギアボックスも良いですよ、これはAMC用の5スピードギアで、英国のクアイフ社製。このクアイフ社というのはですね、私が昔四輪のレースやってる時、「クロスレシオのギア入れて予選突破するぞーッ!…でもお金が無い…ちきしょーう、でもあのギア欲しいーっ!…(泣)」とか言ってた記憶あり、そんな貧乏プライベーターには買いたくても買えない憧れのパーツをバンバン作る聖地英国にある世界のトップクオリティーレーシングパーツメーカーなんです!・・・(熱弁)


で、我がAMC社製ギアボックス用に5&6スピードが用意され、シフトもセレクタープレートと最近できたコーンリバースが選択できる。基本、1速がストリート、ストリート&レース、レースの三種類のギアが用意されます。剛性を上げたケースもアロイ製とマグネシウム製がありますね。で、この88にはアロイ製のケースと中身がストリートの1速が入る5スピードでシフトはセレクタープレートですね。これはトルクの小さな88を一般道で走らせるにはぴったりの選択と言えますよ。皆さんも是非クアイフ社覗いてみてください、造ってるモノの凄さが分かったら貴方も一人前です→コチラ


丁寧に洗浄してみました「かっちょいいですね!」・・・良いパーツは実に美しいものです…と、今回はなんだか終始穏やかな感じでしたが次回はどうなります事やら・・・次回はエンジン組んでいきますよ、では・・・松枝





  

Posted by nunobiki_classics at 20:37作業中車両のプチ報告

2019年11月28日

嬉しい顧客からの便り…TRIUMPH T160 TRIDENT 東京都世田谷区Hさん


「先週末に久し振りの泊りがけツーリングにいってきました!」 2019年、今年の3月にレストア作業が完成したトライデント750。オーナーのHさんから連絡が・・・そして、「2日間で650km、長野の諏訪まで中央道でいってその後国道157号を南下、途中峠を混ぜながら浜松までいって東名で帰るコースです。天気に恵まれ紅葉も見事で最高でした!」 と・・・。


思い返せば・・・エンジンも丁寧に組みました・・・


英国ボーグ&ベック社製のクラッチ・・・かっこよかった・・・


リフト量の多いスペシャルカムシャフトに合わせたキャブレターのアジャスティングにギア比の選択・・・古臭さを感じさせない高速巡航性能をと考慮するも・・・


「ズゴォォーーーーーーーンッ!・・・ズゴォォーーーーーーーンッ!オリャー!・・・」っと、スピード出る出る・・・ 「・・・ちと、やり過ぎたかな?・・・まぁそれもいいや・・・彼なら大丈夫だ・・・」ってな話もあったような無かったような・・・ 


納車では、「取りに行きます!」っと540キロ先の東京世田谷まで帰ってくれた。それは正に布引スピリッツ・・・「来年、信州一緒に行こう!・・・」と、お誘いしましたよ。「これからもよろしくねHさん、トライデント大切にね、いつもありがとう・・・」 彼のレストア作業は→コチラ
2019.11.28 布引クラシックス松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 12:57旅をして来ましたよ!

2019年11月14日

1964TRIUMPHT120R BONNEVILLE 沖縄県Kさん 車両直輸入プチ報告その2


2019年7月に注文を受け、その9月にアメリカから届いたボンネヴィルを神戸税関で手続き終えて工場に搬入・・・
※布引車両直輸入のくわしい状況は→コチラ


開梱してみると、「布引お手軽倶楽部最上クラス」のベース車両」としては抜群の状態・・・
※お手軽倶楽部は→コチラ、ブルジョア倶楽部は→コチラ


ぺトロールタンク(塗装が1963年になっている)、前後のマッドガード(ステンレス製になっている)、各ボルト類がクロームメッキされている(アメリカらしい)、を除けば超上出来「いいじゃない!・・・」


左回転のタコメーターもちゃんとあるしエキゾースト関係もオリジナルで前後のリムもダンロップ製が残っているしその他欠品もなくベース車両としてはベストチョイス!さすが布引クラシックさんですねぇ・・・(手前みそ)。


そして、オーナーのKさん、沖縄県は石垣島から飛行機とレンタカー乗り継ぎ遥々と再び来店してくれましたよ!(石垣島から2回も来てくれてます。) 


「…いいですね!」と開口一番、初めてのマイボンネヴィル、ふたりで梱包の枠を外して車両を取り出しイギリス生まれでアメリカ育ちのボンネヴィルに初めて日本の地を踏んでもらいました・・・「お疲れさま!」


1963~1965年のいわゆるクロスバッヂモデルは現存数も少なく市場に出回るモノは非常に程度が悪い。とんでもなく費用の掛かるような劣悪車両がはびこる中、こうした上物のベース車両を確保できたことは実は素晴らしい事なんだ・・・


そして前回の「広島もみじ饅頭」&「チーズケーキ」に続いて今回は「北海道のロイズさんのチョコ石垣島バージョン」 頂きました!・・・嬉しいですね。そう、松枝も生身の人間こうした心遣いが車両の仕上がりに大きく響く・・・やる気が全く違ってくる・・・キラッと輝くボンネヴィルになるのか?そこらへんに転がっている適当なボンネヴィルになるのか?ここが運命の分かれ道・・・これこそが布引流顧客対応法なのです・・・(半分嘘です!笑) そしてKさん、安心&喜んで帰って行かれました。とりあえず分解整備の着手迄、待っててくださいね。では・・・ 2019.11.13 布引クラシック松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 12:17作業中車両のプチ報告

2019年11月10日

1959 TRIUMPH T110 東京都W様 修理作業 プチ報告その6


東京都Wさんのワンテンの塗装作業、ツートーンのカラーと上塗り作業完了しました・・・


塗装を剥離し、亀裂や異常を確認し、数か所の溶接修理の後、下地を整え、パテを入れる。パテは中目を一度塗り乾燥させ研磨する。更に細目を塗り乾燥させ研磨する、更にグレージングパテを塗り乾燥させ研磨する・・・何工程もの作業があってそう簡単にはいかない。更に1959年製となればヘコミ以外に腐食もあるしノーパテと言う訳にはいかない・・・


前後のマッドガードも同じ、パテを含めると120番から始め最終的に600番まで研ぎをかけて行く・・・塗装とは一にも二にも下地作業の連続。暗く地味な仕事をずーっとやらなきゃならない。下地にある不具合は塗りが完了した時点で必ず表に浮き出で来るから絶対に手抜きは出来ない、それが塗装ってものなんだ・・・


次は下塗り作業だ。最近主流になっている2液性のプラサフを試してみたが・・・これは厚みをつけられて乾燥後の研磨の幅もあるし錆を押さえ込む力も強い。更に密着性も高く素晴らしく高性能だ。今ではどこの塗装屋でも使っているとの事・・・


只、仕上がりにゴージャス感は出るもののシャープさに欠けクラシックカー的には使い難い。性能よりも質感を重視したいと思うから私はやはり1液性だ。


ぺトロールタンクについているモノはメネジのネジ山に塗料が乗らない為に入れている仮のスクリュー、詰め物をするよりも遥かに効率が良い。


白を塗った。色はいわゆる「アラスカンホワイト」歴代のトライアンフが使用する馴染みの色だ。そして、ツートーンの境にマスキングをする。この1959年のT110とT120は色が違うだけで塗り分けは同じ。只、US仕様とUK仕様では幾分の違いがある。これはUKなので後端の湾曲部分がUSよりも穏やかになる。


そしてブラックを塗る。この順序は白よりも先に黒を塗る方が手間はかからない。が、モノのセオリーとしてはこうなる。


異物が付着しないように最善の努力はするが、やはり数点の「ホコリ」はあるし「ブッ」も発生する。乾燥させた後に1500~3000番程度のペーパーで取り除き最後はバフ掛けをする。上塗りの前に中塗りの表面を整える事は大切な工程だが、やり過ぎるとクラシックカー感は下がる・・・


そして、上塗りをした。このクリアー色にも1液性と2液性があって、その最大の違いは塗膜の厚みだ。1液性は薄くクラシックカーに最適な質感を得られる、反面2液性は後の磨き作業に耐えるだけの十二分な厚みが確保できる・・・


個人的には1液性を好む。もっともガソリンや紫外線やなにやらで現代人の価値観も変わってしまった。古いクルマやバイクが好きだと言ってるクセに塗装が薄くなるのは許せないと言う・・・そうした時、私は2液性のウレタン系塗料を可能な限り薄めに塗り、後のパフ掛けも最低限度に抑える。そうすれば耐候性を保ちつつクラシックカー的な質感を確保できる・・・


2液性のウレタン系塗料は常乾塗料ではないから加熱が必要、充分に塗膜が硬化した後、ゴールドでラインをひけば外装の塗装作業は全て完成だ。松枝
  

Posted by nunobiki_classics at 21:18作業中車両のプチ報告

2019年11月04日

2019.11.01-03 信州こっそりツーリング、㊙報告です。


秋晴れの下、憧れの信州をこっそり走って来ました…


「車検出すのに東京から走って行きます!・・・」Y氏の依頼に「では、待ち合わせはROCKで!」 これがこの旅の始まり。松枝は兵庫芦屋からY氏は東京都足立区からそれぞれ自走で集合です。


ここは清里萌木の村にある「ROCK」、今やこんなに立派になったけど、当初は車輪のついた小さなログハウスでカウンターとテーブル席少しの小さな店。20代の頃訪れて食べたカレーの味とコーヒーは今でも忘れられない松枝の大切な思い出。久し振りにここのカレー食べさせて頂きました!ん~っ感動しました・・・(涙)。でも、ちとボリュームあり過ぎかな?感極まって意地で全部食べたら後で死にそうになりました!「ROCK」は→コチラ


11月のビーナスラインも春の陽気、「天空へ突き抜けるぞー!」って・・・


富士見高原辺りではこの景色!・・・兵庫県ではあり得ない雄大さ・・・「はぁ~気持ちいい・・・」


ここは八ヶ岳高原ライン、県道11号。松枝はこうした標高の高い雰囲気が好きなんです・・・


木立の感じが兵庫とは全然違うほどにオシャレ!「六甲山もいいんだけど、やっぱ違うよなぁ~信州いいなぁ~」なんて・・・でも、こうした自然も誰かが守っていてくれるからなんだ、静かに穏やかに走らせてもらう心を忘れちゃイケない「ありがとう、森を守っている人達、そして住人である動物たち・・・」


こうした信州の道って非日常的だから、なんだか走っていてもロマンチストになってしまう・・・


都会ではまだなのに、やっぱりここはもう秋なんだ・・・


ホンモノの牛さんにも会えました(後ろに小さく写ってる)・・・
※・・・今回使用させて頂いたストバイバック、とっても重宝しました!旅に便利なストバイ製バックは→コチラ)


そして、今回の旅のハイライト! 動物好きの優しい心の持ち主の松枝は馬が大好き。見てくださいこの愛らしさ!それでもつながれているのが気に入らず「ヒモを外して放してやりたいなぁ・・・」思います。


備えてあった「ポニーのおやつ」中身は切ったニンジン、300円を箱に入れて「ポリッポリッ!」と、彼に食べてもらいました・・・どんなモノに人生がある。人にもモーターサイクルも、そしてこの愛らしいポニーにも・・・あさって11月4日を最後にこのビーナスラインも閉鎖される。そしたら「もうこんな事しなくていいんだよ・・・」 優しい目の彼とお話ししましたよ・・・


そして1000キロを超える旅に、Y氏の愛車1955年のR50君もちゃんと走ってくれましたよ・・・ 彼の過去の作業その1→コチラ、その2→コチラ

そして機械式の点火装置にオリジナルの電装系統の純スタンダードなA65Tも頑張りました・・・


今回、少し時間を頂いて憧れの信州まで旅をさせて頂きました。機械式のモーターサイクルでもしっかりと整備すればこうして1000キロを超える旅にも悠然と頑張ってくれる・・・オーナーと愛車が正にひとつになれるのがこうしたロングツーリングであると実感させられた旅でした。皆さんも如何ですか?モーターサイクルを好きだと思うなら愛車と共に長い旅に出てみては・・・2019.11.04 布引クラシックス松枝

  

Posted by nunobiki_classics at 14:00旅をして来ましたよ!